新社会人に贈る言葉は、「まず実践」。 - 菅野敦也

菅野 敦也

言論プラットフォーム『アゴラ』に寄稿されたご意見に啓発され、私の体験を交え、大組織の意識変革の兆しを捉える期待の視点に立ち、下記、お伝えしたいと思います。

「 ソフトバンク特別採用コースの波紋 」


― 厚労省は、労働基準法などに触れる可能性があるとみて、採用方法として適切かどうか、事実関係を詳しく調べる方針。(3月24日、日テレNEWS24)―、と報じられ。

新しい施策や異質な実践をまず叩く、旧態堅持社会の気味の悪さを覚えることしばし。 利口な人達からみた新たなる実践は、不快なものだと知らされる。

「 実地で身に付く、社会人の基礎 」

20数年前、入社まもない私は、小売店の店頭にて3ヵ月弱の実地(販売)研修機会を授かった。 床を掃き、雑巾を絞り、展示品とトイレをピカピカに磨く清掃を終え、昨日の失敗体験を報告し、今日の改善目標を掲げ、接客用語を老いも若きも元気溌剌に復唱して店は開く。

店長に主任、いぶし銀のプロヘルパー、年下のアルバイター(最近でいうフリーターの方々)ほか、新社会人の私を鍛えてくれた師範は、多様で異質。 そこに、お客様の叱咤激励が加わり、瞬く間に私もプロの販売員の仲間入り。 笑顔が最高だと褒められ、とても嬉しかった。

組織に属さず生計を立てることが今より難しかった当時のヘルパーさん同志の争いは凄まじく、アルバイターの諍いも少なくなかったけれど、倉庫に貼られた売上進捗表を楽しみに通った、そんな想い出が懐かしい。 店舗運営のマネジメントを実学し、組織調和のノウハウをGET。 社会の先輩と仲間に恵まれたことも、心底から有り難い。

社会人として生きる基礎体力を養う貴重な期間。

さて、ソフトバンクの「特別採用コース」制度を、社会としてまず叩いておくべきものなのか。 大企業の社員の傾向として、リターンを最大化するより責任を最小化しようと妙な努力をする向きが多い。 さらに日本の社会は、異質なものをまず叩き、追い出してしまえ、という閉鎖性も否めない。 それらに抗い、リターンの最大化にチャレンジするソフトバンクの姿勢。 実は、あっぱれ、かも知れない。

世界の情報を瞬時に収集できる怠惰な社会なればこそ、座学に偏ることなかれ。 そうした提言もあって然るべきかと、菲才の恥を忍びつつ、寄稿させて頂きました。

「 輝かしい新社会人のデビューにあたり 」

―― 要は、本当に雇用を守ろうというのであれば、事業を育てなければなりません。(ソフトバンクの新採用制度に思う)―― そう、学生起業家の米重氏が主張されるよう、正に、事業を育てる地力をつけた実践の志士、米重氏のような人財が輩出される社会にしなくてはなりません。

そんな折柄、国内の大企業が変革の試みを始めたのではないか。 そうした期待をソフトバンクグループの「特別採用コース」に寄せ、座視して叩くのみならず、実践の先の成果が有用であるのかどうか、注視したいと存じます。

仮説を立てて実践し、検証して、また仮説を立てて歩むこと。 自分の頭で考え判断、行動できる新社会人に贈る言葉は、「まず実践」。 放たれたボールすべてに対し、フルスイングしていた幼少期。 その延長線にある必然が、偉大なる野球選手イチローの感涙の姿でありましょう。

まず実践。 溌剌颯爽にて、社会人を始めましょう。