遠隔医療の可能性 - 松本徹三

2009年08月14日 05:46

労働力の需給バランスが供給過多になっている中で、介護・医療については供給不足になっていることが常に指摘されています。また、池尾先生もご指摘の通り、常時競争にさらされている輸出産業の生産性は十分高くなっているのに、サービス・福祉部門の生産性が低いことは、今後のGDPの向上への障害になる恐れがあります。しかし、ここにこそ、新しいIT技術が大きく貢献できる可能性があることは、あまり論じられていません。


私が現在仕事をしている通信分野では、今、世界的に、主として携帯電話用に施設された「第三世代の無線通信網」を使った「遠隔医療」の大きな可能性が、活発に議論されています。先進国では、「膨大なユーザーコストの軽減」に焦点が当てられており、発展途上国では、「遠隔医療が如何に多くの生命を救うことが出来るか」が議論されているのですが、日本でも、高齢者を数多く抱える過疎地域への対策を中心に、もっと活発に議論されて然るべきです。

地域的な医師の偏在も大きな問題でありますが、医師の数はそう早急には増やせないでしょう。しかし、看護士なら、政策的に適切な手を打てば、過疎地も含めて、短時日のうちに拡充することが可能でしょう。(場合によれば、どなたかの提言にもあったように、外国人看護師の大規模導入もあってよいと思います。)

私が提案する「広域遠隔医療システム」は下記のようなものです。

まず、無線装置をつけた心電計や、同じく無線装置をつけたその他の測定器や試験機器などを収納した車両を、全国に配備します。次に、一定の資格を持った看護士が、新たに研修を受け、全国の過疎地域をくまなくカバー出来るように配備されます。

研修を受けた看護士は、新たに整備された特殊車両を運転して各地を回り、患者の顔や、目、口腔、舌などの高精密写真を撮り、問診を行い、体重、体脂肪、体温、血圧、脈拍などを測り、採血、採便、採尿を行い、更には、心電計や、その他の医療計測器を操作してデータを取ります。そして、この結果は、逐一遠隔地にいるそれぞれの専門医に無線伝送されます。

専門医はそれぞれにデータを見て所見を入力し、これが担当医のもとに集められて、最終的に、担当医の「総合所見とアドバイス」が文書で担当の看護士に送られ、担当看護士から患者に伝えられるという次第です。薬が処方された場合は、担当の看護士が患者にこれを手渡します。

勿論、重要なことは、診断や伝達の正確を期し、看護士の錯誤や予期せぬ事故を防止する為の「監視体制」が、あらかじめシステムとして確立されていて、これが確実に運営されることですが、それは十分可能であると考えます。

未曾有の高齢化社会を迎え、過疎地問題の解決を迫られている日本にとっては、どうしても必要な施策の一つであると考えるのですが、如何でしょうか?

松本徹三

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