新政権へのささやかな期待 - 松本徹三

松本 徹三

私の一票がどう転ぼうと、日本の政治に影響が出るわけではもとよりありませんが、私も民主主義国の善良な一市民として、今度の選挙でどの党に投票しようかと小さな胸を痛めています。

当初は、「とにかく変化が起こってほしいから」というだけの理由で、民主党に決め込んでいました(こういう人は結構多いのではないでしょうか?)が、一向に「将来のビジョン」が見えず、そのうちに、何だか言うことが社民党の言うこととあまり変わらない気がしてきて、すっかり憂鬱になり、「まだ自民党の言うことの方が筋が通っているなァ」と思うことも多くなっていました。(こういう人も結構多いのではないでしょうか?)


「失礼な」とお叱りを受けるかもしれませんが、麻生首相も、総理大臣っぽくニコニコ笑って手を振っているとあまり様になりませんでしたが、最近、あたかも既に野党の党首になったかのように民主党の「ビジョンの欠如」を攻撃しているところを見ると、なかなか見栄えがしてきました。

しかし、最近は、また、「やはり民主党かなあ」と思うようになりました。それは下記の理由によります。

第一には、もしこのままの形勢で「圧勝」出来ると、社民党のような連立のパートナーにあまり気遣いをしなくてもよくなり、将来に禍根を残すようなこと(たくさんありそうなのが少し怖いところです)や、諸外国から軽侮されるようなこと(特に安全保障関係)をしてしまうリスクが減るということ。

第二には、「無駄遣いをなくせば、増税せずとも財源が確保できる」と言い切ってしまっているので、先ずはこれを必死でやらなければならないこと。(もともと「無駄遣い」などというものは、必死でやらなければ、到底撲滅出来るものではありませんが、追い詰められて必死でやれば、或いは期待以上の結果が出てくるかもしれません。)

そして、第三には、これも強く言い切った「脱官僚政治」が、或いはある程度うまく実現出来るかもしれないことです。

私は、「脱官僚政治」を実質的に進めるのは、「政」の能力からみて現状では不可能に近く、却って不効率を招くのではないのだろうかという疑念をずっと持ってきた(4月2日付の私のブログをご参照下さい)のですが、最近「立法」と「行政」のプロセスの実態に詳しい或る方に聞いたところでは、必ずしもそうでもないらしいいのです。

官僚と一口言っても、キャリアとノン・キャリアがあり、前者は決定に関与する人達、後者は決定には関与しないが、実際に調査、分析、書類作成の殆ど全てを行っている人達です。

そして、民主党が言っているのは、キャリアのポジションに「政」から人を送り込み、「決定プロセス」を「政」が主導しようということであり、ノン・キャリアは現状のまま温存されるわけです。従って、既存官僚機構の持つ「実務能力」の殆どは温存されるので、実際に仕事をスムーズに進めていくにはあまり心配はないというのが、この人の意見でした。

成程、そういわれればそうかもしれません。政治家や彼等に雇われたブレインがノン・キャリアの官僚と結ぶことになれば、キャリア組は口では「お手並み拝見」と冷静な素振りを示すでしょうが、内心は戦々恐々にならざるを得ないではないでしょうか? 結果として、これまでの過度の官僚支配に、待望の「風穴」があくこともありうるかもしれません。

松本徹三

コメント

  1. st_uesugi より:

    私はみんなの党に投票します。
    キャリアポジションに政から人を送り込むことで、脱官僚になるどころか、送り込まれる人は聖人でない限り官僚になりますよ。

  2. 鳩山氏の故人献金の問題はうやむやになったのでしょうか?それはともかく「できなかったらごめんなさいすればいい」とも民主党、藤井最高顧問が言っていたそうですね。

  3. kakusei39 より:

    政治家は、嵐のようなもの、来たら勝手なことを言うが、長くいるわけではなく、最悪でも4年辛抱するだけの話。キャリアは、40年勤務するから、にらまれるとノンキャリと言えども、昇進と給料に影響するのです。

    官僚を変えようと思うのなら、官僚の終身雇用をまずやめることでしょう。彼らは、国家よりもl、役所の働いている集団にロイヤリティをもってます。でも、永年勤続表彰は、陛下から表彰されると聞きましたがね。

  4. jamira_kowai より:

     前回の郵政選挙で、国民の信を問われたので、私は自民党に入れました。

     国民の信とは、郵政民営化と言う事ではなく、利権誘導我田引水金権マッチョ政治の否定であり、何も決めず、決めても実行せずの、のたくら政治の否定であったと今でも思っています。

     にもかかわらず、自民党は、それを自ら否定してしまった。小渕、森の暗黒時代に戻ってしまった。

     かと言って、日教組から利権誘導角栄型政治家までいる、民主党にも入れたくない。最近娘が民主党入りしましたし。

     多分、私は典型的無党派層と言われるのでしょう。

     こんな私には、「みんなの党」がせめてもの救いに思われるのですが、私の小選挙区には立候補者がいません。

     比例はみんなの党で良いのですが、小選挙区は大変困っています。

     下記で政治家個人の考えを一覧にしています。
    何となく自民/民主で選んでしまうと、悪徳政治家が増えてしまう。まじめに、政治に取り組んでいる人を選べば、政治として良い方向に行くのでは、と言う主旨らしいのですが、私の選挙区は自民も民主も’X’になっているし、さてどうしたものかです。

    ひと目でわかる候補者選び
    http://kokueki.sakura.ne.jp/senkyo2009/index.htm