教師に6年制は必要だろうか? 井上晃宏

2009年11月21日 20:36

 教職免許状の取得に大学院修士卒を義務づける方針だという。
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200911210182.html
同時に、現在は2週間でしかない教育実習期間を延長することも検討されている。
 この改革は、薬学部6年制の出来の悪いパロディである。結果は以下のようになった。

 薬学部では、修業年数が延びた途端に人気が落ちた前例がある。薬剤師の資格取得にかかる年数が延びたのに伴い、06年度の入学者から6年制を導入したが、その初年度の入試の志願者は国公私立合わせて約10万1千人。前年から一気に3割強、5万人近く減った。その後も不振は続き、今春の志願者は約8万8千人に。私大では4割が定員割れになっている。

 教育年限は、直接の学費や失われる所得(機会費用)も含めて、資格取得のコストなのだから、待遇を改善しないままで費用を増やせば、質は落ちるに決まっている。
 この10年間で、以下のような職業の教育年限が延長された。
・美容師、理容師 専門学校の年限が1年から2年に、入学資格が高卒以上となった
・薬剤師 薬学部の教育年限が4年から6年になった
・看護師 准看学校はまだ廃止されていないが、正看学校は軒並み4年制大学に昇格した
・法曹 法科大学院卒が義務付けられた
 果たして、有資格者の能力は向上したのだろうか。むしろ、資格取得費用が増加した分だけ、資格取得者の資質が低下しただけではないのか。
 また、「入口」を狭くするだけで、すでに資格を取得した人の再評価は一切問題になっていない。
 資格制度の運用にあたっては、養成学校や業界団体の利害が主に考慮され、消費者のニーズは考慮されない。彼らにとっては、資格取得は難しく、ハードルは高い方が望ましい。消費者の利益代表を、何らかの形で制度改革論議に参加させる必要があると思われる。

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