モラル崩壊を先導する鳩山首相 - 岡田克敏

2010年04月01日 20:56

 トップに立つものが「模範」を示すと影響はどのように広がるか、ということを考える貴重な事例を鳩山首相は提供して下さいました。長年の積み重ねによって形成されたモラルが、たったひとりの行為によって崩れていく過程を学ぶのに良い機会だと思います。


 先頭を切った鳩山首相、小沢幹事長、小林議員は秘書などの逮捕にもかかわらず、知らぬ存ぜぬとして、辞任はむちろん、納得のできる説明すらありません。そしてこの「民主党方式」は3回の事例を経て、すっかり定着した観があります。次に同様なことが起こっても恐らく同じ方式が採用されることでしょう。

 説明するまでもありませんが、同様の事件で誰かが辞任すれば「では首相や幹事長はなぜ辞めないの?」ということになるからです。つまり責任をとって辞める行為は首相らの立場を危うくしてしまうことになり、「辞めない」「説明しない」のが「正しい」対処法となります。

 また、近い将来、民主党が野党になり、与党議員の秘書などが逮捕されたとき、鳩山氏はかつてのように「秘書の罪は議員の罪」として与党議員に辞職を迫れるでしょうか。言葉が軽いと定評のある鳩山氏でもさすがにそこまでは難しいでしょう。当然、追求の矛先は鈍ることになり、辞任なし・説明なしの「民主党方式」は他党にも広がり、議員達は枕を高くして眠ることができるようになるでしょう。たしかに「友愛精神」ですが。

 このような傾向が政治の世界に留まるという保証はありません。官僚組織や企業にも広がるかもしれません。問題を起こした者が「首相と同じことをやって何が悪い」と言えば説明責任を問うことも難しくなります。

 予想される最悪の事態は民主党が参議院選挙に勝ったときに訪れます。おそらく「秘書の逮捕などを含めた上で国民が支持してくれたのだからなんら問題はない」ということになるのでしょう。この奇妙な理屈は以前にも使われました(相対的に得票が多かっただけでは国民が全てを認めたことにはならないと思いますが)。

 ここに至ると、辞任なし・説明なしの「民主党方式」は日本社会に定着するかもしれません。たいへん困ったことです。またこの日本のリーダーは「平成の脱税王」という異名を冠せられたように、約11億円の贈与税を申告していなかっただけでなく、株取引でも約7200万円の譲渡益を申告せず、納税のモラルにも少なからぬ影響を与えました。

 リーダーシップに欠けると評価されている鳩山首相ですが、なかなかどうしてモラルの「改革」に於いては立派にリーダーシップを発揮されているようです。

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