5月8日に発売される『シャンパンタワー交渉術』を一足早く読ませて頂きました。
歌舞伎町トップホストが教える交渉術の極意というのが本のセールスポイントです。著者の信長氏は、ビジネス書を1000冊以上熟読し、人間の心理や行動パターンを研究。それをホストとしての活動に応用し、年間の指名が850本で年収3000万円以上という実績をあげています。
本書の中にも、稲森和夫、カーネギー、ダニエル・ピンク、ドラッカー、神田昌典、といったビジネス書著者の著作からの引用が多数あって、ホスト業界での成功はルックスだけでは成し遂げられないことがわかります。
「交渉術」の本となっていますが、私には「セルフブランディングの教科書」というのがふさわしい内容だと思いました。究極の接客業であるホストとは、最終的にはいかに自分をブランド化するかが勝負だからです。
もちろんルックスが良いとか、話が面白いといった表面的な魅力も必要ですが、著者がホストで成功した理由について、自身で3つのポイントをあげています。
1.「売らない売り込み」を意識する
強引にボトルを入れてもらったり、営業のノルマをお客さんにお願いするような営業手法では、お客さんは引いていきます。安売りをせずに、常に余裕を見せる。自分のお客さんは他にもたくさんいることをほのめかすことで、逆に相手から指名され、売上が上がると言います。
お客さんを追い回すのではなく、お客さんから追われる存在に自分をポジショニングしてしまう方法を考えるべきという発想は、すべてのビジネスの営業の基本です。
2.信用の積立をコツコツやっていく
ホストという仕事も他のビジネス同様、お客様との信頼関係の構築がすべてだと著者は言い切ります。小さな約束を守る、小まめに連絡を取って相手に安心してもらう、決して嘘はつかない・・・。信頼を積み重ねていくことが、最後にお客様からの「シャンパンタワー」になって返ってくる。
ホストの世界でも、地道な営業を真面目に続けることが重要なのです。信用を積み上げるのには時間がかかるが、失うのは一瞬。すべてのビジネスに共通です。
3.自分自身の魅力を高める
自分という商品をいかに気持ち良く買ってもらい、楽しんでいただくか。そのためには商品自体が魅力的であるだけではなく、魅力的に「見える」ことも大切なのです。
ホストの見た目は、スーツと髪型でほとんど決まるというのが著者の持論。だからシャツは毎日クリーニングして、スーツは毎週クリーニング。そして毎日仕事の前にセットをしてもらう。
さらにビジネス書を読み、女性週刊誌を読み、情報やネタを仕入れて、自分自身の魅力を高めるために出費を惜しまない。
ルックスだけでは決してトップクラスとは言えない著者がナンバーワンになったのには、ビジネス書に学んだセルフブランディングの実践があるのだと思いました。
ブランディングとは、自分の価値を高め、それを相手に上手に伝えること。ホスト業界とは究極のセルフブランディングの舞台と言えます。最初から最後まで手抜きゼロで、読者に「見返りを求めず与える」ことを徹底した一冊。
もう一段の成長を成し遂げたいというビジネスパーソンに、一読をおススメします。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2014年5月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。