“国民ファーストの会”は独自の政策目標を掲げられるか?

Wikipedia(編集部)

小池新党と呼んでみたいのだが、小池さんは都知事の職に留まり、まず自分の方から国政の方に転進を図ることはなさそうだから、目下のところは(仮称)国民ファーストとか、(仮称)新日本新党と呼び習わしておくくらいでいいかも知れない。

諸般の情勢に鑑みると、やはり今年の9月から10月に掛けて小池さんと共に歩む国政政党が誕生するような予感がしている。

新党づくりの中核を担うのは間違いなく小池さんと同じ日に自民党を離党した若狭さんだから、若狭さんを立てれば若狭新党ということになるのだろうが、若狭さんだけを表看板にしたのではそう簡単に広がらないだろうから、ここは創業メンバーでよくよく知恵を絞った方がいいだろう。

橋下維新に呼応して国政政党日本維新の会の立ち上げに奔走したのが、当時自民党にいて道州制実現に命を懸けていた松浪健太衆議院議員だったが、5人の国会議員の同志を集めるために松浪氏が如何に苦労していたかを私はよく知っている。

松浪氏がいなければ、国政政党日本維新の会の今日はなかった。

今、若狭さんが担っておられる役割は、ちょうど国政政党・日本維新の会の創業当時の松浪健太氏の役割と同じようなものだと思っている。

日本維新の会は、橋下氏の強烈な個性と道州制実現という明確な政策目標があったから辛うじて実現できたのだが、(仮称)国民ファーストなり(仮称)新日本新党の場合は、小池さんという橋下氏に勝るとも劣らない強烈な個性はあるが、道州制実現ほどの明確な政策目標は、今のところちょっと見当たらない。

単なる選挙互助会、選挙目当ての烏合の衆だ、などと罵詈雑言の対象にならないで済むようになるためには、誰もが納得するような旗を掲げる必要がある。

国民の多くが何とかして欲しいと願っていることが分かっていながら、現実には誰も動こうとしないのでただじっと黙って我慢して受け容れているような問題、実に理不尽だと皆思っているのに誰もその理不尽さの解消に乗り出そうとしないで放置されている問題。
そういう問題を取り上げ、真剣にかつ誠実にその解決に立ち向かってくれる政治集団が誕生してくれれば、大概の人は歓迎するはずである。

(仮称)国民ファーストなり(仮称)新日本新党はそういう旗を掲げることが出来るかどうか。

今、若狭さんたちに求められているのは、その一点だろう。

ちなみに、道州制の推進は、過度の中央集権、過度の中央依存からの脱却を求める人たちの間から湧き起こった政策課題である。
道州制導入の当否については色々意見があり、その実現は決して容易ではないが、統治機構改革を明確に打ち出しているところに維新の先進性がある。

若狭さんたちがどんな旗を上げられるか分からないが、私だったら

①現行憲法の3原則を堅持しながらの護憲的改憲
⓶中選挙区選挙制度の復活
⓷新人の参入を事実上困難にしている様々な選挙規制の撤廃と改革
⓸違法行為を行った国会議員に対する弾劾制度の導入
⓹共謀罪関連法の見直し
⓺警察や検察による違法不当な捜査を抑止するための制度の創設
⓻二重国籍者の国会議員就任を未然に防止するための国籍法や公職選挙法の改正
⓼情報公開制度の徹底
⓽内部告発者、公益通報者に対する保護の徹底と報奨金の支給
⓾テロから国民を護るための施策の充実

などを新しい政治集団の旗に掲げるところである。

自民党の中にもこの程度だったら自分たちも考えているよ、と仰る方もおられるだろうが、小選挙区制度の下で当選した方々が自ら小選挙区制を止めて中選挙区制選挙に戻そう、という話に乗るはずもないから、当面政治的に一番大事なのは中選挙区制選挙への復帰を提唱するかどうか、ということになってしまうかも知れない。

まあ、一般の国民の方々からすればどっちでもいいということになってしまうのかも知れないが、選挙を戦う当事者にとっては選挙制度の問題は結構大きい。

若狭さんたちがどういう答えを出されるか、注目しているところである。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2017年8月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。