予想の域にとどまったWWDC、アップルは0.7%安で引け --- 安田 佐和子

アゴラ

アップルが2日に開催した世界開発者会議(WWDC)は、ソフトウェアの刷新にとどまり関係者の予想の域を超えませんでした。変更点はざっと以下の通り。

マックの「OS X 10.10 Yosemite」

・フォントをLucida GrandeからHelvetica Neueへ変更。

・ドックに並ぶアイコンをフラット化させiOSと整合的に。

・通知センターは日めくりカレンダー式にその日の予定、リマインダーを一覧表示。ウィジット追加で天気、ニュース、株価などもチェック可能。

・スポットライトを中央に、検索の枠もドキュメントやアドレス帳のほかネットなどへ充実。

・エアドロップ機能を強化、iPhoneとマックの連携が密接に。

・マックからiPhoneを使って電話発信。

・iCloudドライブを発表、ドロップボックスのようにiOSやウィンドウズを含めたファイルの管理が可能に。

マックを通じた電話発信では、ビーツ買収でアップル入りしたドクター・ドレが登場。

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(出所 : Apple Insider)

iPhone向け「iOS 8」

・グーグルのアンドロイドのごとく、通知から直接メッセージの返信が可能に。

・音声、動画メッセージを簡素化。

・写真の編集アプリを最新化。

・音声認識機能Siriがハンズフリーに、グーグルの「Ok Google」と同じく「Hey Siri」で起動。

・健康アプリ「ヘルス」を発表、サムスンの「ギャラクシー」と似た機能ながら異なるポイントはナイキの「フュールバンド」などアップル製品外のアプリを含め運動量、カロリー消費のほか血圧、心拍数など全てを一括管理する。データに異常が見つかった場合は、提携する病院がアプリを通じ警告を与えることも。

・ホームキットを発表。ガレージの開け閉め、照明の調節からドアの施錠および解錠を管理できる。グーグルが買収したネストラボに近いものの、ネストラボが煙探知や警報器の開発を手がけセキュリティも含めたスマート家電製造へ裾野を広げる点が異なる。ホームキットとの提携企業はハネウェル、フィリップスの家電メーカーからブロードコムなど17社。

以下が、ホームキットと提携する企業。

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(出所 : Greentechmedia.

詳細はザ・バージエンガジェットなどがきめ細かく教えてくれます。

株価はWWDCを受けて、足元上昇していた背景もあって0.7%安。WWDCの慣例としてハードウェアの新作発表の可能性が低かったとはいえ、やはりソフトウェアの刷新のみでは利益確定の売りを止められなかったのでしょう。

WWDCを振り返り、ウェルズ・ファーゴのアナリストのメイナード・ウム氏は「やや失望的に終わった」と手厳しい。ただし健康管理アプリのヘルスキットは、評価していたんです。フォレスター・リサーチのアナリスト、J.P・ガウンダー氏も「ヘルスキットこそウェラブル製品を発表するサイン」と前向きな解釈を示していました。逆にいうと言及がなかった分、期待を煽ったともいえる?ジャックドー・リサーチのアナリストであるジャン・ドーソン氏は、ホームキットに注目。「家電を始めとした家庭内機器の垣根を越え一括管理を可能にした初めてのプレーヤー」と諸手を上げて歓迎していました。

アナリストの見方は、本日のアップル株下洛がセル・ザ・ファクトあるいは利益確定の売りという域を超えなかった側面を表しているかのようです。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年6月2日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。