大恋愛は離婚につながる⁉︎

Stephen McCulloch/Flickr(編集部)

離婚する夫婦を見ていると、大恋愛の末結婚したという人たちの比率が多いのに気付きます。「両親の反対を押し切った」「前の配偶者と離婚して結婚した」「三角関係や四角関係を勝ち抜いた」…等々。

その理由を示唆してくれるのが、とあるマーケティング理論です。
その理論というのは、提供する価値が顧客の期待を超えると「感動」をもたらすが、その逆の場合は「失望」をもたらすというものです。

何気なく入った普通の食堂で、予想を超えるレベルの料理が出されて感動した経験をお持ちの方は少なくないと思います。逆に、グルメサイトや雑誌で絶賛されている有名店に行ったのに、期待ハズレでがっかりしたという経験もあるのではないでしょうか?

昔、とある飲食店経営者から、敢えて店の装飾等を質素にしておいて味で「感動」を与える工夫をしていると聞いたことがあります。当初の期待をわざと下げることによって、料理の味を引き立たせるという戦略です。

この法則は多くのケースであてはまります。
鳴り物入りで公開された映画を観てガッカリしたり、発売を待ちに待った商品を手に入れたら意外につまらない品物でガッカリしたり。そうかと思えば、たまたまテレビを付けて放映されていたドラマを観てとても感動したり…。

大恋愛をしている男女は、結婚生活に対する期待が大きすぎるケースが多いのでしょう。現実の結婚生活と事前の期待とのギャップに失望して、離婚してしまうのではないでしょうか?

しかし、ラブストーリーが成立するためには何らかの「障害」が必要です。ロミオとジュリエットは「両家の諍い」、ローマの休日は「身分の違い」プリティ・ウーマンは「身分と年齢の違い」というように、古今東西、恋愛を燃え上がらせるためには「障害」というスパイスが必須なのです。

「恋愛には『障害』が必要だ。しかし、「障害」は期待過剰の原因となり結婚生活を失望に変えてしまう」恋愛と結婚の間には、常にこのような矛盾がつきまといます。

この矛盾を解決する決定的な方法は私にはわかりません。
ただ、理屈としては「過剰な期待」を下げるか、「結婚後の生活」という結果を上げるか、もしくはその両方を試みるということになります。

「過剰な期待」を下げる方法としては、大恋愛が成就してもすぐに結婚せず、冷却期間を置くという方法が考えられます。一定期間は籍を入れずに同棲するというのも一つの方法でしょう。見合い結婚も「過剰な期待」が少ないことから、恋愛結婚より離婚率が低いそうです。

「結婚後の生活」という結果を上げるのは、「過剰な期待」を下げるよりはるかに困難です。一緒に生活していれば、どうしても”地”が出てしまいますから。資金力が許せば、別居婚という方法が考えられます。2LDKのマンションに一緒に住むのではなく、ワンルームマンションに別々に住んで、いつまでも恋人気分を味わうという方法です。

野村投信に勤めていた20代の独身の頃、私が「完全に同居するのではなく、同じマンションの別々の部屋に住んだ方が結婚生活は上手くいくんじゃないだろうか?」とつぶやいたら、斜め前に座っていた美貌の女性が強く同意してくれたのを今でも憶えています。

残念ながら、私は彼女と結婚しなかったので別居婚の経験はありません。別居婚の経験をお持ちの方がおられたら、是非ともご意見をいただければ幸いです。

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荘司 雅彦
幻冬舎
2016-05-28

編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2017年8月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。