大逆転のきっかけは「一点突破」から始まる

アジア不動産視察の帰りの便では、カンボジアのプノンペンとラオスのビエンチャンの空港ラウンジを利用する機会がありました。

一見の価値があるのが、トランジットで立ち寄ったビエンチャンの空港ラウンジです(写真)。チープで派手な色のソファが並ぶ部屋には、露天で売っているようなローカルなスウィーツが並び、サンドイッチくらいしか食べるものはありませんでした。地元のビール「ビアラオ」が飲めたのは良かったですが、ラウンジというにはあまりに魅力のない場所です。

それとは対照的なのがプノンペンです。以前はビエンチャン同様に貧弱だったプノンペンの空港ビルは、2年前に最新鋭の建物に更新され、ラウンジは成田空港よりもスタイリッシュな仕上がりになっています。しかも、利用者が少なくいつもガラガラ。ゆったりと時間を過ごせる素晴らしい施設になりました。

プノンペンの空港が象徴的な例となるように、新興国の発展は、極めて短期間に劇的な変化が起こることが珍しくありません。インターネットによって世界中の情報が誰でも簡単に選べるようになり、短期間に大きな変化を実現するハードルが下がったのです。

今は貧弱なビエンチャンの空港ラウンジも、先進国の施設を参考にすれば最新鋭のものを、あっという間に作り上げることは可能です。建設に必要な資金も、経済成長からメリットを得られる仕組みを作れば、海外から簡単に調達できると思います。つまり新興国と先進国のギャップは、一点集中すれば、簡単に逆転できる可能性があるということです。

ここで大切なのは、対象を集中させるということです。プノンペンも空港は清潔で最新の建物に変わりましたが、街に一歩出れば、まだ変わらない現実があります。それでも、空港施設が劇的に変わったことで、それが波及していく効果が期待できます。

これは国の成長だけではなく、企業経営や個人レベルでも同じです。今まで大したことがなかった企業や能力を発揮できなかった個人が短期間で返信し、メジャーになるために必要な戦略は「一点突破」です。

自分の強みを見つけ出し、そこに全精力を集中させ、1つの分野で突き抜ける。大手企業や有名人と同じことをやっていても新興企業や知名度の無い個人は勝てません。

ニッチなエリアで変化を誰でも起こせば、それが将来を変えていくきっかけになります。その変化にかかるコストは大したものではありません。だとしたら、自分が変化を起こす側に立った方が得策です。

プノンペン空港の変化は、全日空の日本からの定期便を呼び込み、日本人社会に早速影響を与えるようになっています。1つの変化が呼び水になってドミノ倒しのように世の中が変わっていく。これからプノンペンがどのように変化していくか。定点観測してみるつもりです。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年10月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。