この報道に接したとき、私は思わず深い溜息をつきました。2年前の年末の『日韓合意』はいったい何だったのでしょうか。「最終的かつ不可逆的な解決される」合意の精神はいったいどこに失せてしまったのでしょうか。
昨年1月5日(水)〜10日(日)、私は、「米国のいろいろな立場の方々に日韓合意をよく説明するように」との安倍内閣総理大臣の指示により、新年早々のワシントンD.C.を訪れました。「米国を含む第三国においても、日韓両国は合意を遵守した動きを行う」、より明確に言い換えれば、「互いを非難する言動を第三国を巻き込んで展開することは自粛する」ことの重要性をオバマ政権(当時)ホワイトハウス・国務省・国防総省高官、超党派の上下両院連邦議会委員長、メディア、シンクタンク有識者らに精力的に会って訴えました。
ちょうど私がダレス国際空港に到着した当日に北朝鮮が四回目の核実験を強行したとのニュースが飛び込む中、「北朝鮮の脅威に対して、日米韓が一致した対応をすることが容易になった」と、会談したすべての相手から安倍総理大臣が下した困難な政治決断に称賛が寄せられました。下にその折に取材を受けた『ワシントン・ポスト』紙の記事を掲げます。私の発言も後半部分で取り上げられています。
Agreement on ‘comfort women’ offers strategic benefit to U.S. in Asia-Pacific
さらに遡り、2年前の4月29日(水)、日本の首相としては史上初、安倍総理大臣による米国連邦議会上下両院合同会議での演説が行われました。私は議場内での傍聴を許されましたが、開会前、議事堂の廊下を歩いていたときに、日系人でありながら極めて反日的な言動で知られていたマイク・ホンダ下院議員(その後、落選)に車椅子で押されている韓国の民族衣装を着た高齢の女性とすれ違ったことをいまでもはっきりと覚えています。その女性は真っ白い服を着ていた記憶があります。
敵として戦った先の大戦から70年。米国民を代表する連邦議員の前での「日米和解」に水を差す不規則発言を行うために、この歴史的な演説にわざわざ乗り込んできたのではないか。現地日本大使館職員たちの間に緊張が走りました。
結果は、安倍総理大臣が議場に入った瞬間から満場の議員たちが総立ちで歓迎し、演説の最中もしばしば立ち上がった拍手で中断される大成功を収めました。韓国女性が議場の熱気を壊す言動などとてもできる状況ではありませんでした。
報道によると、どうやらその時、車椅子に乗っていた女性が、まさにソウルの米韓首脳晩餐会でトランプ大統領に抱きついた人物と同一のようです。
国と国との約束は、政権が変わろうとも違えてはなりません。いまこそ韓国の大統領に対して、安倍総理大臣と同じ大局観と戦略眼を持つことを私は強く求めます。
河井 克行(かわい かつゆき)衆議院議員(自民党、7期・広島3区)。
党総裁外交特別補佐。内閣総理大臣補佐官(外交担当)、党総務会副会長、衆議院外務委員長、党副幹事長、法務副大臣、党国防部会長、外務大臣政務官などを歴任。