アパッチ墜落そもそもの問題

清谷 信一

陸自サイトより:編集部

5日に陸自のAH-64Dアパッチが民家に墜落しました。

墜落の原因は調査結果を待つべきであり、安易な毀滅を行うべきではありません。
ですが、複数の航空隊OBにお話を伺ったところ、現在までの公開情報を見る限りと、前置きした上で、整備後の試験飛行の前には入念に地上での運転を行うので、整備不良であればその段階でわかるはずだ。部品の不良の可能性が強い、ということでした。

そもそも論でいえば、陸自のAH-64D部隊は不要です。不要な部隊をメンツのために多額の税金を使い、多くの隊員を拘束して維持してきました。挙げ句の果てにこの事故です。

実際に部隊として戦闘力が発揮できて、抑止力として機能しているならまだしも、何の寄与もしていない部隊です。

たった13機で稼働機はせいぜい5~6機です。しかも射撃のできない機体もあるようです。
とても組織的な戦闘ができる体制ではなく、戦力とは言えません。

しかも2025年にはメーカーのサポートが終わります。それ以前、2019年頃から部品の枯渇が始まります。
稼働率は更にさがることになります。

本来AH-64Dで更新されるはずだったAH-1Sは老朽化が激しいわけですが、近代化も延命化もおこなわれておらず、現在45機ほどが存在しますが、稼働機は2/3程度です。

またAH-64Dとチームを組む、OH-1は7億円で調達のはずが24億円となり、しかもデータリンク能力もない骨董品です。のみならず、以前はローターブレードの不具合で1年以上全機飛行停止、現在はエンジンの不具合で2年以上も全機飛行停止です。2機だけが改修したエンジンで試験飛行をしていますが、確認が終わった後に全機改修となるのは最低でも9年はかかります。

陸幕は攻撃ヘリ、偵察ヘリが使えなくとも問題ない。災害派遣にも必要無いと胸をはります。
災害派遣の偵察はセンサー搭載の汎用ヘリでOKだと。であれば偵察ヘリは必要ないでしょう。

これらのヘリを部隊として維持する必要があるのでしょうか。
仮に全機廃棄ならば90機ほどの機体の維持費と要員が不要となります。

OH-1、OH-6の後継が必要ならばH135Mあたりを採用すれば宜しい。海自の練習機、TH135の軍用型で、武装ヘリ型も存在しますので、安価に偵察ヘリと、武装ヘリを調達できます。

もう、張り子の虎のような、役立たずのヘリを後生大事に維持するのは止めるべきです。
無用な部隊では隊員の士気も維持できないし、そのような無駄な部隊の訓練などで殉職者が
でれば犬死にでしかありません。これは隊員の対しても大変失礼です。

繰り返しますが、くだらない見栄やメンツのために部隊を維持して、税金と隊員の命を無駄使いするべきでは
ありません。

■本日の市ヶ谷の噂■
陸自のNBC偵察車は小銃弾がスカスカぬけると部隊では困惑。だが陸幕はNBC偵察車の装甲は与圧、気密のためで防弾のためでは無いと涼しい顔、との噂。


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2018年2月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。