この季節になると、私は毎年不愉快な気分になる。
本来であれば、春が近づき日が長くなり、暖かさに誘われて花が咲きだすので、気分が高揚するはずなのに…。
その原因は、随所随所で行われる道路工事と花粉の飛散が始まることだ。
私は重い花粉症患者ではないので、花粉症用のマスクをつけたりゴーグルをつけたりする必要はないが、目が潤み鼻がむず痒くなる。いきおい頭もボーッとして、作業効率が落ちてしまう。
年度末の道路工事(水道管等の工事も含む)は、かつての小泉政権時代に急減したこともあったが、今では何もなかったかのように復活している。
自転車での通行もままならない工事現場も中にはあり、余計な迂回を迫られることが一日に何度もある。
年度末の工事は、余った予算を年度内に消化することが目的だといわれている。
割り振られた予算が余ってしまうと、翌年度の予算が削られてしまうからだ。
予算消化が目的であれば、本来必要でない工事がたくさん行われていることになり、まさに血税の無駄遣い以外の何者でもない。
大きな穴を掘ってそれを埋める公共工事であっても、有効需要が喚起されるので景気刺激効果があると説いたのは、かのジョン・メイナード・ケインズと記憶している。
しかしそれは不景気のときの景気浮揚策であり、昨今のように国の借金が膨張している状況には全くそぐわない。
一方、花粉症の原因は、戦後、戦争で朽ち果てた家屋の修復のために大量の針葉樹を植林し、それが放置された結果だといわれている。輸入木材が安くなったため植林した針葉樹の需要が激減してしまったのだ。
間伐もされずに放置された針葉樹が膨大な花粉を撒き散らし、日本中の多くの人々に花粉被害をもたらしている。
誰もが思い付くことだが、不要な公共工事にあてられる税金を針葉樹林の間伐等に充てれば、一石二鳥で解決するはずだ。
道路工事に悩まされることも、花粉被害に悩まされることもなくなる。
そんな単純なことができないのは、役所の縦割り行政による縄張り争いが原因なのか政治的圧力なのか、私には知る由もない。
いずれにしても、たいした付加価値をもたらさない公共工事に従事する人たちが多数いて、花粉症のために数ヶ月間まっとうに仕事ができない人が多数存在すれば、日本の労働生産性が低下するのはしごく当たり前のことだろう。
編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2018年3月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。