野村総合研究所は、国内投資家向け外貨建て債券「カブキ債」を今月中旬にも起債すると日経新聞が伝えている。国内の発行体が国内公募で外貨建て債を発行するのは初めてで、「カブキ債」という名称は変幻自在という意味を込めており、主幹事の野村証券などと話し合って決めたそうである。
日本政府や日本の企業が日本で発行する債券は国内債とも呼ばれるが、これに対して日本企業などが海外で発行する債券や、海外の政府や企業などが日本国内で発行する債券を「外債」と呼んでいる。今回の「カブキ債」のように何故か一般的に外債には呼称が付けられている。
国際機関や外国の政府、法人が日本国内で発行する円貨建の債券は「円建て外債」と呼ばれるが「サムライ債」とも呼ばれる。
海外の発行体が外貨建てで、しかも日本国内で発行するという「外貨建て外債」という債券もある。債券市場関係者はこれを「ショーグン債」と呼んでいる。
日本と中国の金融当局は、日本企業が中国で人民元建ての債券、いわゆる「パンダ債」を発行できるようにすることで合意したと昨年12月に報じられた。
オーストラリア市場において非居住者によって起債される豪ドル建債券はカンガルー債、英国内で非居住者によって起債されるポンド建て債券はブルドッグ債などと称されている。
日経新聞によると今回の国内投資家向け外貨建て債券「カブキ債」については、発行体としては安価に外貨を調達できる市場をつくりたいとの思惑もあるとか。ただし、発行するためには新たに格付けを取得する必要があるほか、外国語で資料を作る必要がある。
また、それを購入するであろう生損保など国内大手機関にとっては円金利があまりに低すぎることもあり、外債へのニーズは高い。国内企業が発行することで発行体の姿も見えやすいことで購入しやすい面もあるのではなかろうか。
編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2018年3月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。