16日に衆参両院の議院運営委員会は日銀正副総裁などの同意人事案を本会議で採決、日銀の正副総裁人事が国会で承認された。
学校法人「森友学園」への国有地売却をめぐる財務省の決裁文書書き換え問題で、国会が停滞し、日銀総裁と副総裁の国会同意人事にも影響が出ている可能性があった。副総裁の任期は3月19日まで、総裁の任期は4月8日までとなっている。もし国会での承認が4月8日以降まで得られないとなれば、日銀の総裁と副総裁が不在となり、その際の総裁代行は原田審議委員となるという事態もあり得た。
しかし、野党側も国会の停滞で日銀の重要人事を採決させない事態が続けば、国民生活に影響を及ぼし、自らも世論の批判を浴びかねないとの判断から本会議開催を了承したようである(日経QUICKニュースより)。
これにより3月20日に日銀副総裁として、若田部昌澄氏と雨宮正佳氏が就任する。4月9日から黒田総裁が続投となる。
市場にとっては不透明要因がこれでひとつ後退したことになるが、それほど懸念材料視されていたわけでもない。次回の金融政策決定会合は4月26、27日の開催となることで、日銀の金融政策の決定に影響が出る可能性もそれほど高くはなかった。ただし、それまでに承認が遅れ、もし原田審議委員が議長となったら、とのような決定を下すのかというのも、恐いながらも見てみたい気がした。
ただし、来週、アルゼンチンで開催される20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に麻生財務相が出席できない事態となり、、G20における日本の発言力の低下なども危惧されている。今回、日本からは黒田日銀総裁と木原稔副財務相が出席する。すでにG20での古株もなっている麻生氏の欠席による影響は大きいとみられる。
編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2018年3月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。