国会は、荒れた状態が続いています。25日の本会議では、加藤厚生労働大臣の不信任決議案の採決がありました。私は、熟慮の末に反対票を投じてきました。
政府が出した働き方改革の法案で、初めて労働時間の上限を設定したことは評価できます。時短は時代の流れです。
一方で、経済のサービス化が進み、AIが社会で大きな役割を担う中で、労働の成果は、時間で計れない時代に入っています。裁量労働制は、すでに専門業務型と企画業務型で認められています。専門業務の中には、テレビのディレクターとかシステムエンジニアなど、必ずしも年収が高くない職種が含まれています。企画業務型は本社などで企画や調査の業務を行っている人が対象になりますが、こちらも必ずしも高給とは限りません。
高度の専門的知識を必要とするとされる高度プロフェッショナル制度は、基本的に裁量労働制の適用対象者の中から、平均給与の3倍を相当程度上回る水準(1075万円を参考)の年収の人に適用可能です。適用されると、管理職同様、労働時間という概念がなくなります。言わば、年俸制になるわけです。
高プロが適用されると、従来の裁量労働制以上に裁量の幅が広がりますので、働きすぎ、最悪の場合、過労死が増える懸念があります。私も過労死した方のご遺族からのお話を聞いたことがありますので、こうした不幸な事案を根絶しなければならないと強く思います。厳格な健康確保措置の導入や、年間104日の休日確保の義務化など、裁量労働制にはない措置が導入されたのは、当然だと思います。
裁量労働制を巡る杜撰な調査を行った厚労省には、猛省を促したいと思います。杜撰な調査を前提とした裁量労働制の対象業務の拡大を断念したのは、当然だと思います。
私は、これからの時代、管理職ではなく、専門家としてこうした働き方を志向する人が出てくると思います。重要なことは、本人の意思が尊重されることです。政府案が修正され、高プロ適用時に本人の同意を得るだけではなく、離脱の意思表示もできることが明確になりました。私は、働き方改革法案に賛成します。
前日、採決された厚労委員長の解任決議案には、与党に慎重な国会運営を求めたいという思いを込めて賛成しました。しかし、委員長解任決議案が否決された以上、働き方改革法案を採決するのは、国会の役割です。GWを挟んで審議拒否をしておきながら、採決直前に厚労大臣の不信任案を出すのは、不合理だと私は思います。
荒れ果てた国会にあって、国民民主党が、「森友学園・加計学園問題に関する調査特別委員会」の設置を提案したのは、数少ない明るいニュースです。働き方改革法案の審議がされている厚労委員会でも、本会議でも、連日、モリカケ問題が議題となってきました。杜撰な公文書管理は深刻な問題です。特別委員会をつくって徹底的にやるべきです。一方で、会期末を控え、常任委員会では法案の審議をしっかりやるべきだと思います。
国会の現状は危機的です。国会改革に党派は関係ありません。危機感を共有する議員と共に、改めて国会改革を提案していこうと思います。
編集部より:この記事は、衆議院議員の細野豪志氏(静岡5区、無所属)のオフィシャルブログ 2018年5月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は細野豪志オフィシャルブログをご覧ください。