米国のトランプ大統領と北朝鮮の金正恩委員長との史上初の米朝首脳会談が終わりました。日米が一致して求めてきた完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)が共同声明に盛り込まれなかったことで、失敗だとか無意味だとか乱暴な批判も散見されますが、私は、心底、これでいい、と考えています。
安倍総理も、朝鮮半島の完全な非核化に向けた金委員長の意思を改めて文書で確認したことを北朝鮮に係る諸懸案の包括的な解決に向けた一歩と支持を表明するとともに、本来は日朝二国間で解決すべき拉致について初めて米国大統領として明確に問題提起して下さったと、トランプ大統領に謝意を表しました。
まず、非核化については、今日一日では突っ込んだ議論に踏み込めなかったようで、トランプ大統領も「時間が足りなかった」と認めている通りです。しかし、これは、日本にとって必ずしも悪いことではありません。逆に、長距離弾道ミサイルだけの廃棄について米朝だけ=日本抜きで合意されたら最悪です。
むしろ、トランプ大統領と金委員長とが史上初めて直接会談し、信頼関係を構築していく、そして「完全な非核化」に向けて意義あるスタートを切れたわけですから、ベストなのです。トランプ大統領が記者会見で「これからプロセスが始まる」「集中的な時間を過ごしていくことになる」と明言した通りです。
考えてみれば、72年のニクソン訪中でも、その直後には成果が見えないと言われました。仮に、朝鮮半島の非核化に向けたプロセスが始まらない、あるいは滞るようなことがあれば、その時こそ日本は「北朝鮮が核を持ち続けるなら日本も核に手をかけざるを得なくなる」とはっきり言ってやればいいのです。
そして最重要の拉致問題について、トランプ大統領は「問題を提起した」「共同声明には記されなかったが、彼らは取り組んでいく」と述べました。次は「日本が直接、北朝鮮と向き合い二国間で解決していく」(安倍総理)番です。日朝首脳会談の実現と拉致問題の全面解決に向け力を尽くさねばなりません。
編集部より:この記事は、衆議院議員・足立康史氏の公式ブログ 2018年6月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は足立氏のブログをご覧ください。