駅前「中野サンプラザ解体」新区長でどうなる:解体・再整備計画の見直し訴えた新人が当選(東洋経済オンライン)
少し前のニュースですが中野区の区長選挙で現職が敗れました。
東京都中野区長選は6月10日に投票、11日に開票され、新人の酒井直人氏が初当選を果たした。
今回の区長選で大きな争点だったのが中野駅周辺の再開発、特に中野区役所と中野サンプラザ地区の再整備計画だ。区役所の移転に伴う解体と中野サンプラザの解体により、両施設を一体的に開発し、1万人収容の大規模アリーナを目玉とした複合施設を建設する計画が進む中、現職の田中大輔氏が計画の推進を訴えたのに対し、酒井氏をはじめとするほかの3候補は反対や慎重姿勢だった。
まあ、田中前区長が中野四季の森開発でキリンの本社やら大学やらの誘致にも成功して気が大きくなったのでしょう。そしてオリンピックを理由に公園の木を大領に伐採して、関連施設をつくるなど開発第1主義でした。
今回、田中前区長が落選して本当に良かったと思います。
ぼくは中野四季の森も整然としすぎて、まるで臨海の再開発エリア満たない殺風景な感じで、必ずしも中野のキャラクターに合った再開発とは思いません。
北口駅前に1万人アリーナと、大規模商業施設、オフィスビルなどを立てるなんぞ、狂気の沙汰です。
まずオフィスビルは先行きの需要が不透明であり、景気の影響を多々受けます。景気が悪くなれば都心のオフィス街に容易にテナントを奪われます。
そして商業施設を作ってもテナント料が高くて、入ってくるのは大手資本のチェーン店ばかりで、他の施設と金太郎飴みたいなものになります。そこには中野的な個性はありません。
そして中野サンプラザは約2200席で、アーティストの登竜門、であり中堅アーティストの活躍の場でもあります。
こういう場所を潰しすることは、日本の音楽会に大打撃を与えることになります。ライブハウスや小規模なホールからファンを増やしたアーティストの活躍場を奪うことになります。
対して1万人アリーナだと一体どれだけ、スケジュールを埋めることができるでしょうか。それだけの動員できるアーティストは限られているし、様々なイベントをやっても事業として黒字を出すことは難しいでしょう。
しかも今後我が国は少子化社会が待っています。
確かに中野サンプラザは老朽化しており、ホールのトイレなども階段があり、また女性用トイレはキャパが小さいなど問題があります。立て替え自体は必要でしょう。であれば現状と同じキャパのホール、そして例えば1,000人ぐらいのホールを併設して、アーティストの活躍場を提供し、なおかつ高い稼働率を目指すべきです。それも民業の圧迫にならないような事業を心がけるべきです。
再開発ならばむしろ奥地の方でしょう。中野区の住居者は高齢者と単身者が多いいびつな年齢構成になっています。これをなんとかしてファミリーの定着を図るべきです。例えば少し奥の方に3~5LDKの低層の集合住宅を作る。これは区営でも構わないと思います。そしてそこと、中野駅、あるいは丸の内地下鉄の新中野駅までを小型のコミューター形式のバスで頻繁に結ぶ。あるいはライトレールでもいいでしょう。
そうすれば車を持たなくても不便を感じないでしょう。駅前ほど高くなく、ファミリーが住める場所をつくる。賃貸であればライフステージに併せて移動も楽です。また併せて老夫婦あるいは独居老人向けのケア施設を併設してもいいでしょう。
実は中野駅周辺の徒歩10分圏内の一戸建ての住宅の多くは、狭いのにガレージがある家が非常に多いんです。別に車がなくても不便無いところなんですが、何故か車を持ちたがる。まあ、個人の趣味といってしまうとそれまでですが、こういってはなんですが、マッチ箱みたいなマイホームの容積を圧迫して生活の質を自ら悪くしているとしか思えません。
例えば徒歩10分圏の住居にはできるだけガレージ、駐車場をつけさせない。駐車場を作るならそのエリアに立体的なものを作りそこを利用する。駐車場が欲しいに人間は、駅から遠くに住んで貰う。そう誘導する政策が必要だと思います。極端に言えば、徒歩10分圏内は一戸建てを禁止にして、5~7階程度マンションを中心にし、3LDK以上の賃貸住宅を優遇する。そうすれば交通の便がいいところに住みたいファミリーを多く受け入れ、区の人口も増えるでしょう。
要は便利なところにある区ですから、車を減らせば皆快適に、より安すく住むことができると思います。ファミリー人口の増加と老齢者対策は今後区政の課題になると思います。
■本日の市ヶ谷の噂■
陸自のUH-Xは現状調達単価16億円以上、2割以上超えが必至であり、このまま行けば調達中止に追い込まれかねず、関係各位はアレコレ小細工を弄して、プロジェクトの続行を画策しているとの噂。
編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2018年6月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。