これはまだどのメディアも報道されていない“スクープ”記事だ。
昨日東京で、ブロックチェーン技術を活用した、全国規模での環境価値のリアルタイムP2P取引を環境省の主催する200名の政府関係者民間企業や有識者等を集めた会議で生放送で中継して、初めて成功した。これは、環境省が主宰する平成30年度ブロックチェーン技術を活用した再エネCO2削減価値創出モデル事業の受託業者である株式会社電力シェアリングのコンソーシアムが実行した。
今200万件の住宅の屋根には、太陽光発電が載っているが、余剰電力(太陽光で発電された総量から自分の家で消費する分を差し引いたもの)を送配電網を使って電力会社に高い値段(FIT)で売っている。この余剰電力売価には、カーボンフリーで作りましたよという環境価値も含まれている。
一方で、自家消費分は再生100%で使っているのだが、この分は正確に計量されないで、ある意味で埋没してしまっている。それを見える化して、値段が商品にして、そこ価値を買ってくれる人、例えば観光地で電動モビリティをレンタルするドライバーに使ってもらうことができる。ドライバーにしてみれば、電気自動車はゼロエミッションだけど、その電気は例えば石炭発電で作られましたよというとあまり嬉しくない。でも「〇県△さんの御宅で今作られた価値でゼロエミッション化されていますと」とお知らせなんだか嬉しい。
ソフトバンクなどが香川県市小豆島郡豊島で行う瀬戸内カレンという電動モビリティシェア事業
一方で、太陽光発電をしている住宅は、自分の家で作られた太陽光発電の自家消費分の価値が1分ごとに計測されて通知されて、それがリアルタイムで誰かに感謝されて使われているということがスマホのアプリで見られるとなんだか嬉しい。しかも、それは値段がつくので毎日少しずつお小遣いがたまり、うまくすると一年間で1万円を超える収入にもなる。
ブロックチェーンはそのような小口取引の取引・約定・決済結果を正確に記録するのにとても向いている。これをスマートコントラクトという。イメージでいうと以下のようになる。
そこで本コンソーシアムは、鳥取県米子市のT様と神奈川県川崎市のK様のお宅の太陽光発電の自家消費分発生値を1分毎に計測、リアルタイムでサーバーに送り、一方でその価値を瀬戸内カレンの電動バイク一台一台に充填して、ブロックチェイン上で1kWhに相当するCO2削減価値を3円で約定・取引してみせるという生の実験を、スカイプ画像を通じて、先ほどの会議でソフトバンクの山口室長が実演して見せた。これは、おそらく世界初だ。
それを、iモードの立役者である、慶應大学教授の夏野剛氏が、そのUXをいかに向上させて政府の委託事業ではなく、民間の商取引として成り立たせるかについての、迫真を込めた講義を行なった。デジタルグリッド阿部力也会長も併せてブロックチェーンの有効性と各受託事業についてプレゼンテーションをした。私も少し話した。最後に環境省の池本室長補佐が総括をして、引続き本事業を進めていく意向を示した。出席した民間企業からは事業化への参画に向けて強い関心が示された。