「光の道」に就いて随分長い事議論が続いている。どう考えてもFTTHはニッチな層を対象としたサービスとしか思えないのだが、奇異な事に、ソフトバンクの孫社長、そして今一方の主役NTTもユニバーサルサービスとして位置付けている。
結果、毎日の様に郵便受けに加入勧誘のチラシが投函されたり、家電量販での活発な加入営業のシーンに遭遇したりする訳である。本来ニッチ層に向けてピンポイントにアプローチすべきをこういう効率の悪い方法で加入獲得している結果、獲得当たりのコストが極めて高く成って居ると聞いている。
フレッツは当初市場に投入された時点では当時としては非常に良く出来たサービスだったと思う。会社員でも懐傷めず支払う事可能な月額料金が何より大きかった。此の背景は頭の固いNTTにしては珍しくベストエフォートの概念を採用した事だろう。ユーザーが求める機能もほぼ全て搭載されており、それ故に当初は加入も順調であった訳だ。
問題は変化が速いIT業界で此の10年サービスも、プロモーションも、商流も何も変わらなかった事にあると思う。
そして、最近気に成るのはNTTがフレッツサービスで世に何を問おうとしてるのかさっぱり見えない点である。流石に惰性で継続しているとまでは言わないが。
疑問ある方はNTTのHP閲覧すれば一目瞭然と思う。
人は一日単位であれ一年単位であれ移動し続ける動物である。それなりに活躍している会社員であればセブンイレブンは当たり前と思う。従って、FTTH使える時間は寝る為の時間であり、要は使う時間無いと言う事である。又、Deviceは異なれ
無線対応PCとか或いはスマホで24時間ネット接続する必要あるが此のDeviceは家でも無論使える。要はDeviceが重複してFTTHが無駄に成る訳である。
或いは、地方から出て来た大学新入生がネット環境を選択するとすればFTTHはお奨め出来ない。何故なら教養部から学部への移動とか卒業して就職とかで引っ越す訳でその度に解約、新規加入の手続き如何にも煩雑である。それに加え、部屋でしか使えないと言う致命的な弱点は既に述べた通りである。
ADSLからFTTHへの移行も当初NTTが想定した様には進んで無い様だ。理由は簡単で普通のインターネットユーザーはADSLで充分であるからだ。メールのチェックと返信、それからHPの閲覧に100Mbps何て全く必要ない訳だ。
誤解を恐れず、そして厳しく言えばFTTHを必要とするのはネット経由動画を視聴する層位ではないか?
無線通信のQOSはエリア、時間帯に拠り大きく異なり何とも言えないが流石にHDとかだと厳しいと思う。
商流も闇夜の空に向けて鉄砲を連射して、たまたま上空を飛んでいる鴉に命中させる様な現在の雑な物では無く、コンテンツのネット公開を促進させネット経由の視聴者層の拡大を図り此の層に向けてピンポイントにアプローチすべきと思うが。
そう言った意味では今回のNHKのGoogleへの番組販売はNTTに取っては朗報である。Googleと提携しネット経由NHK番組を視聴する層に販促仕掛けるには現在の商流より遥かに効率良い筈だ。
「光の道」への私の認識を総括すれば、今後の通信、表現変えれば、ネットへの繋がり方は家の中でも外でも使える無線対応PCとか携帯Deviceが主流と成りFTTHはネット経由動画を楽しみたいと言う、今の段階ではある種Geekとまでは言はないにしてもニッチな層の贅沢なサービスであり、決してユニバーサルサービスに等成り得ないし、国家主導で進める案件でも無いと言う事である。
山口 巌
ファーイーストコンサルティングファーム 代表取締役
コメント
ネットの動画を頻繁に閲覧する層が都市部に集中し、
そこではマスメディアの流す偏向情報がそのまま
鵜呑みにされ、都市部の者のみが偏向情報かどうかを
複眼的に判断出来るような状況がずっと続く事になります。
光の道は情報の道です。便利か不便かではなく、
せめて判断材料たる情報は満遍なく行き渡るように
したいですよね。(思想の問題になってしまいますが)
今の日本は情報格差が結果的に大きな経済格差を産んでいる
ような気がしてなりません。光の道を整備して情報格差を縮め、
その地域地域が自ら最適な自治が出来るようにするとか。
お金のかかる他のインフラとは比べ物にならない安価で、
他のインフラとは比べ物にならない根本的な変革(脳内変革)を促すインフラが光の道だと思います。
裸足の国に靴を売る商人の話、比喩として適当かどうか解りませんが、そもそもニーズが無いから売れないと思うか、靴のありがたみを理解させればこれほど有望な市場は無いとみるか。
「誤解を恐れず、そして厳しく言えばFTTHを必要とするのはネット経由動画を視聴する層位ではないか?」
仰る通りだと思います。agoraやblogosや池田さんのブログを始め、現在多くのブログがスマートフォンだけでなく旧型の携帯からも見ることが出来るようになっています。私もagoraにコメントを書くときにはPC経由で見ますが、それ以外のときは携帯経由で見ています。動画以外のコンテンツを見るときには無線経由で十分なのです。今後のインターネットサービスで重要になるのはFTTHを普及させることではなく、無線経由で十分機能を果たすようなスマートなWeb siteやコンテンツを構築することになるでしょう。
ソフトバンクの「光の道」は、消費者が意識的に利用するものではないと思います。インターネットへの接続は、無線が主流になるでしょうが、そこから先の通信手段は、通信会社の問題です。無線でも有線でも、最適な経路を通してもらえればいいだけです。「光の道」が必要かどうかは、通信会社の側の技術的、経済的な問題で決まることだろうと思います。もちろん、前提は、消費者のコスト負担が増えないことです。
izumihigashi様
コメントありがとうございました。私は何を隠そう兵庫県西脇市出身の根っからの田舎者です。だからご指摘の件含め地方をどうすれば活性化出来るかずっと考えております。残念乍どうすれば良いか今もって回答出来ないのですが「光の道は」一旦此れで完結とさせて戴き地方活性化に就いては一晩考え明日アゴラに投稿させて戴く予定です。
山口 巌
. bobbob1978様
コメントありがとうございました。ご指摘の通りと思います。結果、会社のあり方や、個人の仕事の仕方今後大きく変わりそうですね。
山口巌
atoman0様
コメントありがとうございました。異存ありません。
山口 巌
現在独自で光ファイバー網やCATV網を構築して営業している民間事業者を国が廃業に追い込む必要がどこにあるのでしょう。
国がやるべきことは民間企業の努力を無にすることではないはずです。
誤解を恐れず、そして厳しく言えばFTTHを必要とするのはネット経由動画を視聴する層位ではないか?
今後、これらの層やオンラインゲーム層など、より高速な回線を求める人はどんどん増えてくると思います。また、Chrome OSを支持するわけではありませんがインターネット上のサーバー内で処理させるアプリケーションが増えてくると思うので、アップ&ダウンする情報量も増大し、それに見合ったインフラの構築という意味で「光の道」を広げることは有意義だと思います(時期や事業者は別として)。
「どう考えてもFTTHはニッチな層を対象としたサービスとしか思えない」
ソフトバンクの提言の根幹は「無駄なメタル配線を廃止してコストの安い光ファイバーに転換する」と言うことにあると思うのですが。将来どうせそうなるんだから、今まとめてやったらどうですか、と言う提案で、私は悪くない案だと思います。
ですので、
「理由は簡単で普通のインターネットユーザーはADSLで充分であるからだ。」というのは本質的な問題ではない。
ただ、「厳しく言えばFTTHを必要とするのはネット経由動画を視聴する層位ではないか?」はそうだと思いますが、それがデフォルトになる時代はそう遠くないのではないのでしょうか?
minobe_100様
コメントありがとうございました。基本的な点で民間にやらして巧く行かないから国が代ってやると言うのは間違いだと思います。きっともっと上手く行かずその結果を隠蔽し大赤字出すと思います。FTTH普及させたいなら国はボトルネックと成って居るコンテンツのネット解放を加速すべきでそのためには著作権法の改正とかフェアユーズの判り易い運用とか効果のある施作を取るべきです。
山口 巌
hamong様
コメントありがとうございました。ゲームの所は詳しくないので(というか将棋ゲーム以外やったことない親爺です)何ともお答えしようありません。どなたかゲームに詳しい方のご意見希望です。唯、ご指摘の点に就いては費用対効果だと思います。需要が増加の爆発が見込まれる無線通信の分野に注力すべきと言うのが私の考えです。
山口 巌
foo794様
コメントありがとうございました。
先ず最初の「無駄なメタル配線を廃止してコストの安い光ファイバーに転換する」事がNTTの利益に叶うならNTTは採用してる筈です。採用しないのは何か理由がある筈でその部分知る由も無いのですが。。。
次にネット経由動画視聴がデフォルトになる時代はそう遠くないのではないのでしょうか?
とのご質問ですが、そう成れば良いと考えてます。その意味今回のNHKに拠るGoogleへの番組販売がきっかけに成れば良いと期待してます。ネックはコンテンツのネット解放が遅れている事でその背景は事業者が消極的であるとか、著作権法解釈の問題とか、フェアーユースの解釈が確定せず運用出来ないとか色々あると思います。なので政治主導で先ずここを解決しコンテンツのネット解放を加速させFTTHの市場を拡大するのが先決と考えてます。市場の拡大が見えればどんと光化進めるというのもありでしょう。私は何でもかんでもFTTHに反対している訳ではありません。先ず、やるべき事は他にあるのではと問題提起したつもりです。
山口 巌
12.について
もし出来るならNTTが自らやっている筈で、何かできない理由があるはずだった、と言う趣旨の話は光の道否定派の方が良く述べられます。今のままではできません。部外者であってもNTT自らができない理由など幾つもあげられます。
まずやる気が無い。どうしても現在のメタルを引っ剥がして光に引き換えようと言うモチベーションが働かない。その理由だけでNTTには無理です。出来ないと言っている経営者の元では出来ません。真に出来ない理由など無いのです。
分社化して、出来ると言う経営者に任せるべきだと思います。そうすれば出来ます。出来ると言う経営者の元でも出来ないと言う反論があれば、その反論事由を潰して行き、出来るようにするにはどうすれば良いか、常に出来るためには何を変えなければダメか、それに集中して、実際に変えて行くしか無いんです。それを、ここを変えなきゃ出来ない。だから出来ないと言う結論ではダメなんですよ。最終的な結論を「出来る」に持っていく経営者と国家方針。これが揃って出来ない事はありません。
izumihigashi様
コメントありがとうございました。仮に光化でNTTにメリットあるなら光化を加速すべきだし加速しない経営者は忠実義務違反で解任される筈です。しかし最大株主総務省の結論は光の道棚上げだったと記憶してます。従って、この話は結論出てる筈ですが?
今一つは光化は飽く迄手段であり、費用対効果がプラスならやるべきだしマイナスならやるべきではないと思います。何故何が何でも光化やらねばと考えられるのか正直よくわかりません。此れからは24時間ネットアクセス可能な環境が必要で此れは無線通信のみが可能であり、まずこの分野に注力すべきと思いますが。。。。
山口 巌
14.
>仮に光化でNTTにメリットあるなら光化を加速すべきだし加速しない経営者は忠実義務違反で解任される筈です。
そういった判断が出来ないほどに思考停止している集団なんですよ。ああいう巨大で、惰性で動く組織にブレイクスルー的な判断は不可能です。光化でメリットがあると外部から言われても、そのメリットをまともに検討しない組織が下す判断を妄信してはいけないと思います。また、忠実義務違反で解任を迫る主体は何処か?といえば株主です。大株主は国であり管轄省庁は総務省。NTTの光化のメリットよりも、現経営陣とべったりズブズブの関係をこれからも維持していきたいと考える総務省が何処まで光化を真剣に考えるのでしょう。忠実義務違反で解任されることなど叶いません。公正、公平の視座から現況を見れば、NTTが光化を真剣に検討し、具体的に問題点を洗い出し、実現のために問題点一つ一つ潰すような作業を自ら進めるはずです。それでも難しいとなれば、メリットデメリットをきれいに並べ、誰もが納得できる具体的な数値を伴った光化不可能説(不必要説)を開陳すべきです。
izumihigashi様
コメントありがとうございました。今回のご指摘に対しては同意致します。時代遅れのNTT法は破棄してNTTを普通の民間会社にし後は市場に委ねるべきでしょう。IT業界の変化の大きさ、速さ考えれば役所の様なNTTが今の形で存在し続けると言うのは悪い冗談としか思えませんね。唯、光化はNTTを買収した企業がオウンリスクでやるべきで国費投入の国家案件とすべきでも、する必要は無いと思います。
山口 巌