杉田水脈叩きはジャンヌダルクの火炙りに似ている

金曜日のフジテレビ「バイキング」の杉田水脈叩きはひどかったらしい。しかも、最後に私の「杉田議員は他の議員が恐れるような団体もしっかり問題提起する方。今回も世間の『LGBT助成何でも万歳』という風潮に疑問を呈するもので批判は覚悟の上だったはずだ。本当は出てきて議論したいはずだ」といったコメントをフリップで出したらしい。

司会の坂上忍氏は、「八幡さんには普段でも番組(バイキング)でお世話になっていますから。色々とバランスを取ってくれていますからね」と発言したが、東国原氏らの出演者は聞くに堪えない罵詈雑言を私にも浴びせたそうだ(私は観ていない)。

およそ客観性の高い扱いとはいえないが、ともかくも、この事件の背景が巨悪に対して叩きを挑み続ける杉田氏への意趣返しであるという視点をしっかり大マスコミが報道してくれたのは初めてだから評価したい。

最初からいっているように、この問題の本質は、関西生コン、慰安婦、科研費、中核派などの「聖域」に攻撃をしてきた杉田氏の足をすくおうとしてきた連中が、LGBTという保守も取り込みたがっている分野での、やや舌足らずな書きぶりの揚げ足を取ったことということだ。念のためだが、私は杉田氏の論文の内容に自体は賛成していない。

一方で、関西生コンという戦闘的でえげつない闘争をする労働組合の問題はこれまでも逮捕者を出し問題視されてきたにもかかわらず大手マスコミも政治家も面倒な関わりをおそれて逃げてきた。

慰安婦を性奴隷とか呼ばれても、外務省は事なかれ主義で積極的な反論から逃げ腰だった。

科研費が偏った政治思想をもつグループに有利に配分され、政治運動といわれても仕方ない目的に実質的に流用されているのでないかという疑惑もぜひともシステムの問題も含めて議論して欲しい問題である。

西宮市役所時代の杉田氏が市民とつかみ合いのトラブルを起こしたというのも、相手は中核派で一般市民ではない。

国会での枝野幸男代表のあの演説中でヤジは多かったが、杉田氏の「野田中央公園はどうなった」とう野次にだけ枝野氏が異常に反応して演説を中断した理由も知りたい。

そのほか、杉田氏の批判にあって困っている団体や個人は多い。それだけに、危ないとは思っていたが、ついにやられたかということだった。

杉田氏のLGBTについての記事で傷ついた人が多いというが、それは、杉田氏の書いたことが「LGBTの人たちは生きる価値がないと杉田氏はいっている」とか、ねじ曲げられ捏造までされた結果がほとんどだ。

たしかに、自民党議員が本当にそんなことをいったら傷つく人が多いだろうが、そんなことを杉田氏はまったくいっていないのだから、傷ついた人がいたとしたら責めを負うべきは発言を捏造した人たちである。

そして、石破茂氏を始めとする自民党の一部の杉田批判はまことにみっともなかった。少なくとも、揚げ足取りであるなど明白なのに、それに理解を示し、しかも、それを石破氏が政争に利用したことは総裁選挙の汚点だった。

また、稲田朋美氏の批判も杉田氏が野党などの攻撃にさらされているなかでは、言い方に慎重さに欠けた。自分が防衛相として不手際の数々や籠池氏との弁護士としての関与についての健忘症などでさんざん迷惑を掛けながら守ってもらったばかりであることを忘れているのは不思議だった。

杉田氏が戦ってきたような悪に対して、マスコミやほかの政治家はどうして傍観してきたのか(恥ずかしながら私だってこうした問題を論じるのはよほど慎重にしかよくやらない)。それを恥じるべきであって、杉田氏の蛮勇を責めるのは卑怯だ。

この経緯は、野党についていえば、ジャンヌダルクに恨みをもつイギリスや裏切り者のブルゴーニュ公が、異端審問というかたちでジャンヌダルクを陥れて火炙りにしたことに似ている。自民党や保守勢力内での批判や傍観は、ジャンヌダルクを見捨てたフランス王シャルル7世の取り巻きみたいなものだ。

『反安倍』という病 - 拝啓、アベノセイダーズの皆様 -
八幡 和郎
ワニブックス
2018-09-07