アマゾンに次に「殺される」のは「銀行」

自分の消費生活を振り返ると、毎日の生活で頻繁に利用しているのは、スタバ、セブンイレブン、そしてアマゾンです。

毎朝スタバでコーヒーを飲み、セブンでちょっとした買い物をする。

洋服などはお店に見に行くことがあります。しかし、それ以外の日用品は、ほとんどアマゾンで購入しています。恐らく、年間で数十万円は使っているでしょう。

そのアマゾンが「Amazonギフト券」というのを出しています。チャージタイプを現金で残高追加すると、ポイントが付与されます。表のように金額によって優遇率が変わり、プライム会員になると優遇されます。最大で9万円以上のチャージで、プライム会員なら2.5%のポイントになります。

このギフト券は発行日から10年間有効です。取り敢えず10万円チャージして、もし1年間に10万円使わなかったとしても、残りの9年では恐らく使い切ることができるはずです。

銀行に10万円預金しておいても年2.5%の金利は付きません。それよりも、アマゾンに10万円をチャージしておいて、2500円分のポイントを受け取った方が、メリットが大きくなります。しかも1年経たなくてもチャージした瞬間に2.5%です。こうなってくると、将来アマゾンで使うお金を銀行預金にお金を置いておく理由が、そもそも無くなってしまいます。

アマゾンは、アメリカの小売企業を次々と苦境に陥れ「デス・バイ・アマゾン(アマゾンに殺された)」という言葉があるくらいの破壊力を持っています。しかし、次の標的になるのは銀行ではないでしょうか。

「アマゾン銀行」を作らなくても、アマゾンのギフト券が実質的に銀行口座と同じ役割を果たすようになっていく。私のように消費生活の大半をアマゾンに依存している人にとっては、何かと手数料ばかり取られ不便な銀行口座を使うメリットが無くなってしまうのです。

いずれ日本にもアマゾンの実店舗「アマゾン・ゴー(Amazon GO)」が展開されるようになれば、さらに利便性は高まります。

小売りとか金融といった業界の垣根を簡単に超えて、繁殖していくアマゾン。あまりの膨張ぶりに、世間からの逆風もあるようですが、消費者に利便性と経済的メリットを提供し続ける限り、この流れは止まらないと思います。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2018年10月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。