ゴーン逮捕:税金逋脱や特別背任での捜査も免れないはず

有価証券報告書の虚偽記載の方が形式犯なので立件し易かったのだろうが、故意に報酬を低く記載したという事実が確認されたら、当然、納税すべき金額が変わってくるから、悪質な事案では税金逋脱の罪でも立件されることになる。

Wikipediaより:編集部

カルロス・ゴーン氏も日産も、一連の捜査が早期に収束することを願っているだろうが、よほどのことがないとそうはならない。税金逋脱の罪だけでなく、特別背任の罪に問われることもあり得る。

一連の行為にカルロス・ゴーン氏本人が具体的にどこまで関与していたか、虚偽記載の事実を認識していたかどうか、そのような記載にした理由や動機、さらにはどういう人たちが虚偽記載に関与し、かつ各人ごとに具体的にどういうことをしたのか、といったことを個別具体的に確定する必要がありそうだから、今回の日産についての捜査は、相当広範囲かつ長期にわたることは必至である。

一連の経過から、これは日産という企業の中での一種のクーデターだなどという声も上がっているようだが、日産の社員による内部告発が捜査の端緒だとすれば、確かにそう受け止められても当然である。

司法修習生の時代の検察修習の期間を除いて、これまで一度も捜査をする側に立ったことがない市井の一法律実務家でしかない私があれこれ言っても、一般の方々の判断を誤らせてしまうだけかも知れないので中途半端なコメントは控えさせていただくが、とにかく本件は近来稀な重大経済刑事事犯であることは間違いない。

なお、コンプライアンスの専門家である元検事の郷原氏はこの事件について結構慎重な態度を示されているようである。郷原氏や、この種の事案について造詣の深い、検察官出身の弁護士の方々のコメントに注目しているところである。

ちなみに、私がこの種の事件の判断についてもっとも頼りにしているのは、産業法務研究会の監事を務めている、太陽コスモ法律事務所の同僚の村上康稔弁護士である。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2018年11月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。