「ユーキャン新語・流行語大賞」のここ数年の政治的偏向ぶりへのツッコミは、もはやネット上のこの時期の名物と化しており、今年は黙殺するつもりだった。(今年もおよそ世間で流行ったとは思えない「反安倍ワード」から「ご飯論法」がベスト10にランクインしたそうだ…棒)
いや、別に日本は思想信条の自由も、言論の自由もあるのだから、反安倍だろうが、枝野マンセーだろうが、勝手にやれば良い。それでも違和感というか、ある種の欺瞞を感じてしまうのは、日頃の政治報道では異様に中立に気を遣っているはずのNHKまで、ニュースアプリで大賞の速報を打ったり、発表の瞬間をライブ中継なんかしちゃったりで、「大衆文化を偽装したサヨクのお祭り」を垂れ流すあたり、ダブスタじゃないの?としらけてしまう次第だ。
そんなモヤモヤしたムードを一気に吹き飛ばしてくれたのが、この受賞辞退だった。先日亡くなった勝谷誠彦さんがご健在なら、褒めちぎりまくっただろう。8月に山口県の山中で行方不明中の2歳男児を自主的に救出した「スーパーボランティア」の尾畠春夫さん(79歳、大分県在住)。その活躍と人徳は改めて取り上げるまでもないが、話題に乗っかろうとするだけの流行語大賞事務局の浅ましい魂胆を見事に一蹴した。
「スーパーになるようなことはしていません」。何よりもこのコメントが実に痛快!他のメディアは事務局経由での「当たり前のことしただけ」という談話を間接的に速報しているだけだったが、そこは全国津々浦々に取材網があるNHKだ。きっちりご本人に直接聞きに行った大分放送局のスタッフのことは褒めたい。NHKのツイッターにリンクされた短い動画をぜひご覧いただきたい。
「スーパーになるようなことはしていません」
「スーパーボランティア」が新語・流行語大賞のトップ10に入った尾畠春夫さんは受賞を辞退し、表彰式を欠席しました。https://t.co/jCa8N4rvyo#nhk_video pic.twitter.com/WsfA6iCw51— NHKニュース (@nhk_news) 2018年12月3日
「何もしていない」
「当たり前のことをしただけ」
「困っている方がいたら飛んで行って手を差し伸べさせてもらいたいなと思ってます」
尾畠さんが紡ぎ出す言葉の数々。別に政治的に何か事務局に異論があるのだとか、カッコつけて辞退したとかではない。本物なのだ。8月に全国区になった当時、東日本大震災の被災地支援で尾畠さんが訪れた先の宮城県南三陸町の佐藤仁町長は、Facebookで尾畠さんの現地での活動をありのまま振り返り、絶賛していたのが印象的だった。少し長いが、全文引き移す。
尾畠さん、あなたは凄い…❗❗❗
山口県周防大島町で行方不明になっていた2歳の男の子が、今朝早く無事発見されました…❗
良かったですね~❗ところで、発見したのが大分県からボランティアで駆けつけた尾畠さんという方…❗
実は、この尾畠さんは震災直後から南三陸でボランティアに従事してくれていた方です…❗
震災で家屋の7割ほどが流出し、それとともに思い出の品々も流されました…❗その時に立ち上げたのが『思い出探し隊』…❗
尾畠さんには、その隊長に就任して頂いて、多くのボランティアの皆さんの取りまとめ役を担って頂きました…❗
義に厚く、情に深い方で、涙を流しながらガレキの中から『思い出の品』を探しあててくれました…❗その尾畠さん、78才になってもボランティアで活躍されている…❗
頭が下がります…❗ あなたは凄い…❗
真心から人のために活動する本物のスーパーボランティアが相手では、から騒ぎしたいだけの事務局も形無しだ。馬脚があらわれた。いい気味だ。言葉に鋭敏な勝谷さんもあの世でお酒片手に雀躍しているだろう。
よし、勝谷さんになりきったつもりで最後まで行くぞ。流行語大賞はクソだね〜っ、と。みんな「そだねー」って返してね。