弁護士が解説。JASRACと著作権について理解したい

カラオケの著作権は?

2019年1月、改正著作権法が施行。私たちの未来は本当に良くなるのか?音楽と豊かに暮らすために。尻すぼみ法改正、判決前の使用料徴収と、それへの反発……。世間の認識と乖離する著作権問題を、米国弁護士がわかりやすく解説した。

今回は『音楽はどこへ消えたか? 2019改正著作権法で見えたJASRACと音楽教室問題』(みらいパブリッシング)を紹介したい。著者は国際大学グローバルコミュニケーションセンター客員教授、米国弁護士、城所岩生さん。本書は2018年3月にポエムピース社より刊行された『JASRACと著作権、これでいいのか』に大幅加筆した新刊である。

JASRACと日本の著作権法これでいいのか

2017年2月、JASRAC (日本音楽著作権協会)は、2018年1月より音楽教室から使用料を徴収すると発表しました。この発表により、音楽教室は今までとやっている内容は何一つ変わらないのに、いきなり使用料を納めなくてはならない可能性が出てきた。

音楽教室は、使用料支払い事務作業量の増加や使用料の支払いのため、生徒に授業料の値上げを迫ることになる。値上げにより、生徒が減り、閉室してしまう教室も出てくる可能性があるかもしれない。

子どもにピアノや楽器を習わせたいと考えている人たちも、値上げの話を聞いて二の足を踏んでしまう可能性がある。海外に比べて厳しいといわれている、日本の著作権法。その厳しい著作権法が、遠隔教育の普及や医療の現場で最善の治療を受けることを阻んでいることはあまり知られていない。

次の3つの質問に答えられますか?

Q1.著作権って何?なぜ今注目されている?
A.著作権とは著作権者の利益を守る権利。現代ではすべての人が著作権に関わり侵害するおそれが高まっている!

著作権法は、著作権者の利益を守りつつ、皆が公正に著作物を利用できるようにすべきと定義している。昔は一部の専門家のみの問題だったが、現代では老若男女全員に関わってくる重要な問題である。

Q2.日本の著作権法は諸外国に比べても厳しいって本当?
A.本当!日本の著作権法は諸外国に比べると厳しい。

英米には公正な利用であれば「許可なしでも著作物を使える」規定がある。検索サービス技術は日米同時に生まれたが、日本にはそうした規定がなかったことから日本市場までアメリカ勢に制覇されてしまった。

Q3.裁判所も著作権法を厳格に解釈するって本当?
A.日本の裁判所は著作権法を守るため過去に厳しい判決を下している。

無許可で客が楽曲を歌っても、責任を問われるのはカラオケ店主。最高裁はサービス提供者が著作権を侵害しているとみなすため、日本のインターネットの関連サービスは成長できなかった事例がある。

城所さんは、日本の著作権法改革を進めるため、日々活動をしていているが、著作権に対する動きや、世間での認知を鑑みた結果、本書の出版を思い立ったそうだ。本書では、日本の著作権法運用の現状についてわかりやすく解説されている。

尾藤克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員

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