「人口がまだ増える」という幻想

愛知県豊橋市議の長坂です。

市が開催している「地域意見交換会」全日程のおよそ半分が終了しました。

(追記 一部日程変更)全51回!公共施設の活用に関する地域意見交換会

今のところ、皆勤※で見学させてもらい、様々な意見を聞いております。
(※同じ日程で2会場開催が多いので、その際はどちらか1会場へ)

その際、とてもよく聞くご意見です。

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3 どうしたら市民館等の校区にある公共施設の利用を増やせると思いますか?

圧倒的に多いご意見が「駐車場を増やす」

校区面積が広かったり、公共交通区間が不十分な地域だけでなく、豊橋駅近くで面積の小さい校区でも同様の意見が出たとき、ぼくは神妙な顔つきになっていたでしょう。

ほとんどの校区市民館は、小学校に隣接または併設されており、もちろん校区内の小学生は毎日歩いて学校に通っている距離です。

もっとも僕自身も自動車を多用しており、豊橋市での自動車生活がどれほど根付いているかがわかりました。
新アリーナについて、駐車場を整備しない方針がとても批判的に捉えられているのがよくわかります。

次に多い意見がこちら。

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豊橋市が人口を増やすべき

上の図は、意見交換会の冒頭の説明で用いられている図です。

拙ブログで度々言っていますが、とてもミスリードな図で、平成72年(2060年)の30万人超が既定路線のように見えます。赤い矢印を含めて。

しかし、実際はめちゃくちゃがんばって、出生率が急上昇できたら30万人を超える。
もっとも現実的なのが28万人。実際はこの青線より更に早いペースで人口減少が進んでいます

(追記あり)予測よりも早く進む、豊橋市の人口減少

豊橋市街地(Wikipediaより)

にも関わらず、まだ「人口は増える/増やせる」と信じている方が、これほどいることに驚いています。更にその際に出てくる声が「子育て施策の充実」ではなく「企業誘致」なことも。

そして、人口が増えない/増やせないのは、豊橋市の怠惰であるように思われていることも、とても根深く感じます。

参加者の多くは、ぼくの親世代あるいはそれ以上の方たちで「人口増加」が当たり前。
むしろ「人口爆発」の懸念や、「人口抑制」策を目の当たりにしていた方たちにとっては、人口は「増えることが当たり前」でも、仕方がないのかもしれません。

どんな施策でも、市民の理解を得ずに実施することは、相当に困難です。
もし錯誤があれば、行政はまず理解を進める必要に迫られます。

意見が出た際、市職員が明確に「今後、人口は増えません」と言わないことも、よろしくないと思っています。

もちろん、近々に区画整理や宅地開発がある校区など、局所的な増加可能性はゼロでないかもしれません。
しかし、豊橋市全体で見たとき、人口が増加しないことは明白です。
もちろん、これは日本全国で同じことが言えます。

唯一、人口が増える可能性は、海外からの流入です。
豊橋市の人口の約2倍、年75万人の外国人が流入すれば、日本の人口は増えるそうです。

読み解き人口推計(3)外国人受け入れ、議論停滞:日本経済新聞 

豊橋市は、外国籍人口が多い自治体のため、海外からの流入が増えたときどのようなことになるか、多くの市民が実感を伴って、経験をされていると思います。

では!


この記事は、愛知県豊橋市議会議員、長坂尚登氏のブログ 2019年1月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は愛知豊橋・長坂なおと のblogをご覧ください。