私が今、日本経済新聞社発行の日経グローカルで連載をしている巻頭言『中田宏の直言』で、今月は沖縄県今帰仁村について『地域資源は日常の中にこそ存在
住民と行政が協同し活性化の礎に』というタイトルで記事を執筆しました。
普段から私は地域の活性化や地方創生、こういう内容の講演依頼をよくいただきます。
そんな訳で、今年最初の出張は、その今帰仁村で平成31年1月7日に開催された、頑張る自治体応援事業 -人づくりと地方創生-(主催:一般社団法人 全国空き家バンク推進機構)での講演でした。
地方を活性化する為に、ディズニーランドやUSJのような大型アミューズメントパークを招致するのはそう簡単ではありません。さらに、今議論されているカジノ統合型リゾート(IR:Integrated Resort)だって日本に幾つも作る必要はありません。では、「地域活性化の為に何をやればいいのか?」と聞かれます。そんな時、私は「地域資源を活用しましょう」と言います。その為には、『地域の資源を発掘し、そしてそれを顕在化させて定義すること。』が重要です。
今回、講演の前に村を視察させて頂きました。実は私、今帰仁村を初めて訪れました。標高275 mの乙羽岳からは街が一望でき、その乙羽岳にはまだ1月7日なのに桜がほころび始めていました。そして、首里城などと一緒に登録されている世界遺産の今帰仁城跡にも足を運びました。今帰仁村は本部半島にある町で、那覇から北に80キロ、車で約1時間半かかります。お隣の本部町には、年間378万人が訪れる美ら海水族館があります。ちなみに今帰仁村に在る世界遺産、今帰仁城跡の年間来訪者数は30万人弱とまだまだ来訪者が少ない場所です。
街を視察したその夜の講演で、今帰仁村活性化として3つのアイディア、すなわち今帰仁村の資源を言いました。
その一つ目は「今帰仁城の桜」です。
先ほども書いた通り、1月の第一週から桜が芽吹き始めている状況を見て、私は思わず「皆さん、お花見はいつやるんですか?」と質問しました。すると、1月26日には桜祭りが開催されるが、今帰仁村の人達はゴザやビニールシートを持ち込んで、そこで宴会を始めることは無いそうです。本州のお花見といえば、場所の取り合いになりますが、ここは違います。そういう理由を踏まえ、「日本一早いお花見を売り出してみてはどうか?」と言いました。
二つ目は、今帰仁城跡での成人式です。
昨年新成人でつくる実行委員会のアイデアで、今年の成人式は今帰仁城跡で実現したそうです。世界遺産での成人式なんて格別ですよね。
先日ご紹介したように、横浜の成人式なんか荒れていましたよね。1万人以上が一つの会場に集い、誰がどこにいるかもわからないし、中には行きたくないって思っている人もいる訳です。そうならば、他の地域の新成人も今帰仁城跡での成人式に参加できるように門戸を開いてみるのも良いかもしれませんね。そうすれば、人生の節目でまた訪れてくれると思います。
三つ目は、庭先フルーツ返礼品です。
今まで、今帰仁村のふるさと納税返礼品には魅力がありませんでした。
以前見た、秘密のケンミンショーで沖縄の人達は自分の庭にフルーツを植えている人が多いことを知りました。そうして出来たフルーツの出来栄えを品評会で評価し、村民から寄付してもらい、返礼品にする事で、村民の村政への参加意欲も高くなり、コストが抑えられ寄付額の粗利も大きくなると思います。
先に述べたアイディアは、私が当日思いついた物であり、浅はかなアイディアかもしれません。しかし、今帰仁村の人たちは、「なるほど。そんな価値があったのか」と驚いていました。
他の地域から若者が来てやる今帰仁城跡での成人式、これについても「やろう!やろう!」と盛り上がっていました。私、実際に人が集まると思います。
また、他の沖縄の地域だって日本一早いお花見は実現できるアイディアだと思います。
このアイディア、やったもん勝ちですからね。
こういう風に、地域資源を有効活用して欲しいと思います。
編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年2月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。