本日6月26日、令和元年の通常国会が閉幕するにあたり、何か所感をまとめておこうと考えましたが、昨日の衆院本会議に上程された安倍内閣不信任決議案に対する反対討論に尽きていますので、再掲し、会期末の所感に代えさせていただきます。
日本維新の会の足立康史です。
私は、党を代表し、ただいま議題となりました安倍内閣不信任決議案に対し、反対の立場から討論を行います。
いま、自民党の皆様から拍手を頂戴しましたので、念のために申し上げますが、私たち日本維新の会が内閣不信任決議案に反対と申し上げたのは、別に自民党や公明党と行動をともにしたいから、ではなく、共産党と同じ行動を取るのが、死んでもイヤ、だからであります。
1.消費増税・軽減税率・ポイント還元という悪政三兄弟は凍結を!
その上で、安倍内閣の政策について申し上げれば、アベノミクス、対米外交などは、一定の評価ができるものの、安倍総理という玉(玉に瑕(きず)の玉)には、とんでもなく深く、大きな、瑕が刻み込まれようとしています。
それは、言うまでもなく、10月に予定されている消費増税であります。いまの日本経済の状態や不安定な世界情勢の中で、10月に消費増税を実施してしまえば、日本経済は再び奈落の底に転落し、安倍総理の名声は、藻屑の泡となって消え去ってしまうでしょう。
安倍内閣は、だからこそ、軽減税率で逆進性を緩和し、ポイント還元などで消費の落ち込みに対応していくのだ、と仰るわけですが、1)ただでさえデフレ転落というリスクを抱える消費増税に、2)逆進性の緩和にならないどころか複雑な対象品目の線引きを通じて行政に深刻な歪みをもたらす軽減税率、そして 3)複雑でお金持ち優遇にしかならないポイント還元、これら悪政三兄弟は、凍結し、絶対に葬り去る必要があると、私たちは考えています。
来るべき7月の参院選においては、当に、この消費増税の是非を巡って、ガチンコの論戦を展開してまいりたいと存じます。私たちは、いま消費増税を断行することは、あたかも、崩れかけの崖の上に、複雑怪奇な三階建ての建物を建てるようなものであり、そんな危険な建物に、大切な国民の皆様を住まわせることは絶対にできない、と考えています。
2.マイナンバーをフル活用した税と社会保障の抜本改革を!
むしろ、いまの日本社会にとって、一番大切なことは、税と社会保障を再構築するための前提となる制度インフラ、つまりマイナンバー制度を普及・定着させることであります。
私は、予算委員会で麻生財務相に、マイナンバーの普及を待たずに増税をしなければならないほど日本の財政は破綻の危機に直面しているのか、と問い質しましたが、ギリシャと一緒にするな、と怒られてしましました(笑)。その通りです。IMFも指摘しているように、資産から負債を差し引いた日本の純資産はほぼプラスマイナスゼロ、つまり、いまの日本は、成長を犠牲にしてまで財政再建を急ぐ必要など、微塵もないのです。
むしろ、ひび割れをして穴が開いているバケツに、いくら税という水を注いでも、それは、だだ漏れして、本当に手を差しのべるべき人々には決して届きません。税と社会保障について最も大事なことは、徴収すべきところからしっかりと徴収し、手を差しのべるべき人々にしっかり支援を届けることであります。そして、そのために必要な制度インフラこそ、マイナンバーなのであります。
私たち日本維新の会は、改正入管法が審議された昨年の臨時国会から、この点を強く主張してきました。外国人労働者の受け入れを拡大するにあたっては、偽造が横行している在留カードにかえて、マイナンバーカードの携帯を義務化し、収入と資産をすべて紐づけて管理すれば、外国人の失踪を防ぐこともできるし、外国人の皆様に最適なサービスを提供することもできるのです。
その上で、私たち日本維新の会は、人口減少・少子高齢化の時代に、新しい時代に相応しい、新しいバケツ、すなわちマイナンバーをフル活用した税と社会保障の抜本改革を提案してまいります。
3.万年与党と万年野党の猿芝居、国会という芝居小屋、不信任という小道具
維新以外の野党の皆様は、会期末になり、参院選が間近になり、急に「マニフェスト」なるものを公表していますが、そんなに重要な政策なら、なぜ、会期中に提案しないのでしょうか。
会期中には一切提案せず、会期末になって、唐突に政策案を出してくるというのは、要するに、議論したくない、議論に耐えられないので、選挙のどさくさに紛れて、有耶無耶にしたい、のだと受け取らざるを得ません。
そうした野党の態度、また野党を小ばかにした与党の態度とも相まって、今国会は、まったく生産性のあがらない「税金無駄遣い国会」となってしまいました。
抜本的な社会保障改革や憲法改正など国の根幹に関わる最重要問題がほとんど議論されないまま、ひたすら時間が流れ、終盤には金融ワーキンググループの報告書の受け取りを麻生大臣が拒否するという問題まで発生してしまいました。
この幻の報告書は、問題の多い年金制度について議論を深める絶好の機会であったのにかかわらず、葬り去られてしまったことは、残念としか言いようがありません。
私たちが、残念に思い、呆れているのは、そうした年金の問題だけではありません。
公明党は、参院選を前に、突然、国会議員の歳費の1割削減を打ち出されました。10月に消費税率が引き上げられるのを前に、身を切る改革に取り組む姿勢をアピールするのが狙いだ、と報道されていますが、なぜ直ぐに実行しないのでしょうか。
国民の皆様に負担を求めるならば、国会議員自らが身を切る姿勢や覚悟を示すべきことは当然ですが、口だけなら、言わない方がマシ、大事なのは実行です。関連法案が成立しようとしまいと、公明党が日本維新の会とともに身を切る改革に取り組まれることを、心から期待したいと存じます。
4.人口減少・少子高齢化時代に相応しい、もっと自由で安心な社会を
国会という芝居小屋で演じられている猿芝居、そのお芝居の終幕に必ずと言っていいほど繰り出される内閣不信任決議案という(大道具ならぬ)小道具を前に、今国会は幕を閉じようとしていますが、国民は、こんなお芝居にも、使い古された小道具にも、まったく意味がないことを見破り、興ざめしています。
国民の関心は、年金制度であり、医療介護であり、子育てなのです。私たち日本維新の会は、9年前に結成された地域政党が大阪で実現してきた改革実績を基礎に、人口減少・少子高齢化時代に相応しい、もっと自由で安心な社会を提案してまいります。
万年与党と万年野党の国会議員たちが芝居小屋の中で遊んでいる間に、大阪を舞台に、世界は激動の時代を迎えようとしています。今週28日、29日の両日、日本で初めてのG20首脳会議が大阪で開催され、3万人もの関係者や報道陣が大阪に集結すると言われています。
この会議は、大阪、関西、そして日本の魅力を世界に発信する絶好の機会でもあり、これを成功させることで、今後のMICE(マイス)戦略にも生かして参りたいと存じます。
来るべき7月の参院選に向けて、地方で生まれた唯一の国政政党である私たち日本維新の会は、北は北海道から南は沖縄まで、全国各地で地域の皆様から愛され、支えられてきた地域政党とも連携し、自民党が作ってきた古い政治、古い制度をぶち壊して、新しい国づくりを主導してまいります。
以上、私たち日本維新の会は、「与野党攻防」という猿芝居の小道具に過ぎない内閣不信任決議案には組みしませんが、私たち日本維新の会こそ、本質的な意味で自民党にチャレンジする、正真正銘の野党であると宣言し、討論とさせていただきます。
ご清聴ありがとうございました。
編集部より:この記事は、衆議院議員・足立康史氏の公式ブログ 2019年6月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は足立氏のブログをご覧ください。