アマゾンのクラウドサービスであるAWSの日本事業の一部で大規模システム障害を起こしたと報じられています。さすが日本というかAWSというか、その日の午後10時までにはおおむね復旧したとあります。
実は当地の最大の通信会社、TELUSでもサーバーの大規模システム障害が先週木曜日に発生、各地でメールが送受信できない状態になりました。普及したのは月曜日朝。つまり、3日半かかりました。数日前、TELUSから詫びのメールと共に次回請求から10ドル割引しますと。うーん、あの不便を10ドルでかわされるのか、とおもうと癪ですが、ごねても仕方がないですね。
では今週のつぶやきです。
ジャクソンホール、パウエル議長、利下げ…
世界中の金融関係者が注目したジャクソンホールにおけるパウエルFRB議長の講演。どこかの国家元首の講演よりはるかに意味があったのは議長が現在の経済をどうとらえているのか、金利をどういう方向に持って行くのか、という点にありました。
結論から言うとアメリカ経済の基調は健全だが、significant risks(重大な恐れ)にさらされていると述べました。7月の利下げから何が変わったかといえば米中通商戦争の激化、ドイツ経済と中国経済の深刻さ、英国のEU離脱の可能性、香港の緊張などを踏まえ、金融市場は大変不安定な状態にあると指摘しました。
FRB議長、米中対立に苦慮「見本になる先例ない」 https://t.co/t1LYmjUwuT
— 日本経済新聞 電子版 (@nikkei) August 23, 2019
このスピーチの中で明白に9月の利下げに言及したわけではありませんが、市場はハト派的ととらえ、すでに9月は100%の利下げ予想の確率を更に後押しする形となっています。
私が着目しているのは物価や労働市場についての言及はしているもののFRBが「世界経済の中でアメリカの取るべき金融政策」というスタンスを前面に打ち出した点が明らかに変調した部分とみています。つまり、中央銀行の任務は物価と労働の調整が第一義であったものの今回のパウエル議長の論調からは「世界の中のドルとその防衛」という位置づけに見えます。もしもこの解釈が正しいなら中央銀行のポジショニングは歴史的転換ということになるかもしれません。
GSOMIA、すれ違う日韓、収拾の目途立たず…
私の情報筋の一つから昨日、連絡あり、韓国の状況は「今回は違う」と。今まではそれでも日本びいきの人は気にせずに普通を装っていたけれど、今は公然と日本の商品を買うのが恐ろしいからネットで買っている人が増えているらしいのです。韓国の学校では改めて「歴史教育」に取り組み、「日本がどれだけ悪いことをしてきたか徹底的に教え込んでいる」というのが韓国人からのボイスです。こういう一般社会からの生情報はニュース記事より真に迫ったものを感じます。
GSOMIAについては今更私がコメントすることでもないのでは省きます。日韓のすれ違いぶりは「かすりもしない」ほど離れてしまったようです。かつてイラク戦争を仕掛けたブッシュ大統領はそれまで低迷していた支持率が世論の圧倒的支持を得て9割にもなったことがあります。文大統領のそれは選挙対策とも言われていますが、彼を糾弾する野党保守党の声が高まれば高まるほど日本へのバッシングを強めることで文大統領自身が抱える国内問題のはけ口を日本に求めているように感じます。これではかつての尖閣の時と同じです。韓国総選挙は2020年4月。それまでは日本を梃に絶対に譲歩しない戦略をとるでしょう。
では日本はどうすべきか、ですが、韓国側には今まで同様、ボールを相手に投げた状態にして「ご提案をお待ちしている」というスタンスを続ける一方、国際世論には日本の立場を明白に説明すべきと思います。欧米の人は「日韓は不仲」という事実は知っていてもなぜ不仲か、具体的には99.9%の人は知りません。「歴史問題だろう」という大局的なくくりではなく、今回の事案がどれだけ理不尽なものか、きちんと知らしめるべきです。日本国政府および外務省のコミュニケーション能力が問われます。
議論百出 横浜市のIR(統合型リゾート)誘致 開発表明…
林文子横浜市市長も苦渋の表明だったのでしょうか?横浜市の将来を考えると「ビジネスになり」「お金が落ちてくる」IR(統合型リゾート)がやっぱり欲しいと思ってしまったようです。
私はこれは全然違うと思っています。林さんもそのブレーンも読み方を間違えたと思います。というより想像力がなさ過ぎです。大失望です。
神奈川県は全国の都道府県の中では平均年齢が45歳で若さでは5番目に入ります。つまり、極めて恵まれた人口構成をもつ都道府県であり、東京へのアクセス、東海道新幹線の経路、数多くの観光資源を含め、日本の都道府県の中ではベストオブベストの一県です。その中心にある政令指定都市では全国1位の人口を誇る横浜市あります。
今回計画されている山下ふ頭はみなとみらいからもう少し海沿いに進んだところでベイブリッジの手前に位置し、港の見える丘公園や中華街を後背地にもつデベロッパーであれば垂涎のウォーターフロント開発用地であります。ぶっちゃけていうならばこの場所は何をやっても成功するわけでなにをもってIRなどという麻薬のような手法を使わねばならないのかさっぱりわかりません。
基本的にはこの土地には職住接近の高品質で最新のハイテクを施した開発を施すべきでしょう。敷地内の自動運転の移動手段やドローン配達など日本の未来系を一足早く実現する実験ビレッジにすると同時に日本政府が後押しする特例的開発案件とすべきであります。みなとみらい線も一駅延長させるだけで都心への直通アクセスは確保できます。
本件をめぐり横浜市では議論百出になっているようですが、林市長、一旦クールダウンして大局を見直した方がいいと思います。私はブレーンが悪い気がします。
後記
当地で弊社とビジネスパートナーで推進するシニア向け施設の開発計画は当局と何度かの折衝を経て当局内部のコンセンサスがとれたので土地の用途変更申請と新しいプランの提出を本日行いました。私にとって用途変更申請は1989年以来になるので規模こそ全然違いますがとてもエキサイトしています。計画通りなら約2年でとてもユニークな施設ができます。こういうドキドキ感は開発業者の冥利に尽きます。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年8月24日の記事より転載させていただきました。