「ヤフージャパン」が東京都政にもたらすもの

東京都議会議員の川松真一朗(墨田区選出・都議会自民党最年少)です。

ヤフージャパン元会長が副知事へ

とある人事構想で東京都庁に激震が走ったのは9月4日のことでした。それは元ヤフージャパントップだった宮坂氏を副知事に登用するという人事でした。実際には議会承認が必要なため、議会に諮ってからという形になりますが既に各メディアはこぞって好意的に取り上げています。私も宮坂氏のような聡明な人物は都庁舎に大きな変革をもたらすと考えています。

副知事に指名された宮坂氏(東京都知事Facebookより:編集部)

そもそも、いわゆる役人文化に染まりきっている都庁舎改革は並大抵のことではありません。いくら小池知事に熱狂的なファンがいても、都民ファーストの会という都議会最大会派がいても、本質的な改革は進んでいません。それほど、頑迷固陋の都庁機構を改革するのは大変なことだと思います。

強い胆力で都庁改革に期待?

私もこれまで色々な組織の立て直しを図ってきたことがありますが、最後は自分一人でもやり抜くという強い意思をもった同志が数名いれば成し遂げられるものであります。その過程で、調子の良い者も出てくるでしょう。ましてや、今の都政では小池知事に覚えめでたくなる為のゴマスリも多数存在します。

昨日の都議会本会議で明らかになったように、宮坂さんは担当所管の無い副知事になります。内閣で言えば、無任所大臣です。私は、宮坂さんという人物は初めて会った時から、ソフトな見た目とは裏腹に強い信念をお持ちの方で、さすが孫正義氏が重用する人物だなと思っています。たまたま、共通の知人がいるなどのご縁もあり、参与に就任後まもなくの頃から、都議会自民党との勉強会なども模索してきたのであります。

この勉強会も、5G政策やsociety5.0というキーワードで昨年から私も色々な政策提言を行ってきましたが、更に理解を深めるには都の参与にもなられた宮坂氏に語って頂くのがベストだろうと判断し、都議会自民党の鈴木幹事長が誕生してから段取りを進めてきました。政治的な意図も無く、役人は無関係で進めてきた勉強会ですが、いつのまにか他の会派も宮坂勉強会を開催したようです。それはそれでよいことです。

しかしながら、私が動き始めてから日程調整がうまくいかず8月27日に開催することになりましたが、その2日後には小池知事と2人で記者会見し5G政策を推し進めるべく会見も行いました。それから週が明けての副知事人事になり、私自身も事態が把握できず混乱しています。

某記者と私のやり取り

一方で、副知事人事案件が都議会に諮られる9月10日を前日に控えて、ある都庁詰めの記者が私のところにやってきました。副知事人事をどう思うか?というテーマで取材にきたのです。私は即答しました。「宮坂さんが副知事になられることは都政においていいことだ。でも、小池知事にいいように利用されないかが心配だ。」と述べたのです。

これまで、小池側近と言われる特別顧問団や特別秘書は、今や小池知事の傍らにはいないが現実です。そして、そういった人々の点数稼ぎに都政が利用され、本来進むべき都政の道はグチャグチャにされて、小池知事のマイナス実績ばかりが積み重なったのでした。

しかも、直前に判明しましたが無任所副知事です。スローガンを掲げる以上に、実態として何をどこまで宮坂さんに権限を持たせるかの注目するのは至極当然です。

また、その私への取材について、とんでもない都職員がいることも判明しました。以下のやり取りです。

記者:「川松議員が宮坂副知事について、東京都執行部と自民党の間を取り持って実現したようですが、何故、取り持ったのか?」

川松:「なんだそれ!?」

記者:「そういう話をしている都の幹部職員がいまして。」

川松:「そんないい加減なこと言ってるの誰だ。ここに連れて来て欲しい。」

記者:「9月29日の小池・宮坂会見の発表内容の事前勉強会だったのではないですか?」

川松:「全く違う。こっちの勉強会2日後に全く趣旨の異なる会見を知事側に仕掛けられて迷惑しているのはこっちだ。」

記者:「では、都の幹部職員の話は間違いですか?」

川松:「当たり前。私と宮坂氏には共通の知人がいる。今回の勉強会は都職員は誰も参加していないし関係ない。」

などなど、私の怒りの中で取材は終わりました。

ココから先、都政は面白くなる

ここから先は、完全な推測ですが、今、報道によれば小池知事は来年の都知事選を見据えて自民党に近づいているのは間違いない。そこに、宮坂さんという小池知事が一本釣りした形の都参与の勉強会が自民党で突如開かれた。

ゴマスリレベル程度の都職員は、小池知事と都議会自民党の融和路線の世論を喚起することで自分達の立ち回りを考え始めてマスコミに不確かな情報を流した。裏を返すと、これは都職員の深層心理。都知事と都議会自民党の溝が埋まれば、もっと仕事がしやすいという。あくまで私の妄想ですが。

アゴラの新田編集長も自身の記事で本件について触れられました(「小池氏の元ヤフー会長の副知事登用、自民「使い捨て」危惧」)。この人事は都庁内外に波紋を呼んでいるのは間違いなさそうです。

いずれにしても、私は宮坂副知事が進めたい政策には強い理解を持ちますから、MaaSも含めて、応援できる場面では努力しています。どうしても、チェック&バランスの議会と都執行部ですから、議論すべきところは議論していきます。

川松 真一朗  東京都議会議員(墨田区選出、自由民主党)
1980年生まれ。墨田区立両国小中、都立両国高、日本大学を経てテレビ朝日にアナウンサーとして入社。スポーツ番組等を担当。2011年、テレビ朝日を退社し、2013年都議選で初当選(現在2期目)。オフィシャルサイトTwitter「@kawamatsushin16」