中国建国70周年:節目の日を迎え、ますますゴリゴリ?

日本の消費増税が始まった10月1日、お隣の中国では建国70周年の節目を迎えて大々的に祝賀式典や軍事パレードが行われました。

習近平国家主席の演説では、香港に対しては「香港に高度の自治を認める一国二制度を堅持する」、台湾には「両岸(中台)関係の平和的発展を推し進め、祖国の完全統一実現のために奮闘しなければならない」、アメリカに対しては「いかなる勢力も偉大な祖国の地位を揺るがし、中国人民の前進を妨げることはできない」と発言しました。

これは今まで通りゴリゴリやっていくという意味ですね。また、習近平氏は、全ての問題に対して「平和的に」と口では言いますが、軍事パレードでは200万人にもおよぶ人民解放軍の力をまざまざと見せつけました。

事実、香港に対しては香港に隣接する深セン(香港中心部と深セン中心部の距離は27.4km)にあるスタジアム(香港の境界から7kmの地点)に武装警察を集結させています。そして台湾に対しては常に軍事的圧力をかけ続けています。そしてアメリカには核弾頭を搭載可能で全米が射程範囲内の多弾頭型大陸間弾道ミサイルをパレードで初お披露目して牽制しました。

一方で、中国国内では人民格差がどんどん広がり不満は鬱積しています。また香港では抗議デモが続いています。こうした香港の動きを受けて、台湾は中国がどんなに一国二制度と言ったところで反中国の蔡英文政権にとっては、来年の総統選挙への追い風にもなっています。

さて、そんな10月1日の中国を私は、お祝いの節目というより今後どうなるかという節目だと見ています。というのも、このお祝いを迎えるにあたって最近の習近平政権は割と穏健な態度だったと私は考えます。

例えば、1989年の天安門事件のときには、軍を学生に発砲させて1万人以上が死んだと言われていますが、昨今の香港情勢、これは香港が民主化を求めているのではなく、今までの民主制度を維持してくれ、約束を守ってくれというデモですけれども、終わりが見えずもうデモが始まってから4ヶ月経とうとしています。しかし中国は今のところ武装警察は出動させずにきました。

また、米中貿易戦争は先月アメリカが関税第4弾を発表しましたけれども、中国は抑制的でした。

私は、10月1日のお祝いを穏便におえて、これから強硬路線に出るとも考えられると思います。

と思っていたら、香港では実弾を警察が発射してデモ隊に負傷者が出たというニュースが早速流れました。これからアメリカ大統領選挙が本格化しますから、米中貿易戦争はその足元を見てトランプ政権に攻勢を仕掛けてくるとも考えられます。

これから先が注目です。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年10月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。