原田前環境相、田崎史郎氏の「卑怯」発言に大激怒

前環境相の原田義昭氏が9日、フェイスブックを更新し、3日に放送されたTBSの情報番組「ひるおび!」の中で、政治評論家の田崎史郎氏が原田氏を「卑怯」と評したことに大激怒した。

原田氏を批判する田崎氏(TBS「ひるおび!」10月3日放送より)

田崎氏は、福島原発処理水の海洋放出がテーマになった問題の番組の中で、原田氏が退任前日の記者会見で発言したことに触れ、「政治家として卑怯」「イタチの最後っ屁みたいに」「しかも所管外のことについて」と猛批判していた。

僕は原田さんは政治家として卑怯だと思います、この人は。それは、自分が辞めるってわかっている前の日に発言するわけですね。イタチの最後っ屁みたいに。それならもっと早く言って、論議すればいいんですよ、政府内で。自分が信ずることならば。それを自分が辞めるとわかっている前の日に言う。これは政治家として酷いと思いますよ。しかも所管外のことについて。

これに対し原田氏は、

この福島原発の処理水問題につき、1年近く思い巡らせてそれを発表したことに対し「卑怯だ」と言われる筋合いは全く見出せません。

と全面的に反論した。

原田義昭氏(環境省サイトより:編集部)

処理水発言について予定していたものではなく、記者会見での質疑応答の流れの中で、

その瞬間誰かが言わなければならないと素直に決断しました。

厳密には経産大臣の専管事項であって所管外の人間が発表する案件でなかったこと、しかし自分は広く原発問題を扱う「環境大臣」、「原子力防災担当大臣」であり、それ以上に『国務大臣』としての仕事があること、政治家として最後の勇気を振るわなければいけないと咄嗟に判断したものです。

と説明した。小泉環境相が福島県側に謝罪した後の先月13日には問題意識を持ち始めた経緯を明かしていた原田氏だが、今回も

昨年10月、大臣就任早々に福島の原発事故跡の現場を視察しました。広大な敷地に1000個にも及ぶ異様なタンク群と「今後の見通しは立っていない」という東電職員の説明に、これでいいのかと素朴な疑問と強い違和感を持ったのが最初でした。

様々の方策、例えば貯留水を蒸発させる方式、地下に埋める方式、「凍土壁」を作って放射能デブリ(燃料廃棄物)と遮断する方式、遠く外洋に捨てる方式・・・いずれも現実的な解決とは思えなかった。

と経緯を再び振り返った上で、

処理水は今も毎日170トン増えている、この8月の貯留量(累積)は115万トンになる。2022年夏には137万トンとなり、既設の貯留スペースは満杯となり、どこか広大な場所を探さなければならない。いつ終わるのか、予測は立たない。その費用は一体誰が負担するのか、も大事な論点である。

と思慮を巡らせてきたことをあらためて強調した。田崎氏が批判した、最後の記者会見での発言になったことに対し、

私はそのことも、またその後に起こったことにも、一切後悔はしていません。

と言い切った。

田崎氏は、8月の月刊「文藝春秋」で菅官房長官と小泉氏の対談で司会を務めるなど、官邸との距離が特に近いジャーナリストとされる。それだけに、原田氏に対する官邸の「本音」をぶつけたように見えなくもないが、原田氏は一切ひるまなかったようだ。