こんにちは、東京都議会議員(町田市選出)のおくざわ高広です。
台風10号が過ぎ去り、各地で大きな被害を出しています。被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。
前回、「台風への備え~議員の役割とは」と題して、台風到来前に書いた通り、災害時に議員がどのように行動するのか、悩ましい問題だと思っています。
確かに、皆様のお声をお伺いし、区市町村や都、国に対してその声を届けることはできます。しかし、残念ながら、議員は災害時の指揮命令系統に組み込まれておらず、緊急時のお困りごとに対して即座に解決することができないことも多いのが現実です。
むしろ、最前線で対応にあたる行政職員の方々の手を止めてしまうかもしれません。その影響力が大きければ大きいほど、職員の方々も対応せざるをえず、対応の優先順位を変えてしまうことすらあると危惧するところです。
(Aさんの声を優先した結果、Bさんが後回しになることは不可避であり、議員の声の大きさによって判断されるべきではないと私は考えます。)
そのような想いの中で過ごした3日間で見えてきたことをまとめておこうと思います。実は、私が都議になって初めて都議会災害対策本部が設置されました。議会としても、なんらかの対応を求められる(議会が臨時的に招集される?)可能性もあると考え、一夜を過ごしました。
1. 情報収集と情報共有(災害発生時〜)
→議会事務局から各会派幹事長宛に様々な情報共有がなされました。それを会派のメンバーに共有し、逆に議会局に伝えるべき情報があれば吸い上げる役割は重要であったと思います。
その際、情報収集において独自のチャネルを持てるかどうかも非常に重要であると感じた次第です。最前線で対応に当たる行政の方々とは違うルートかつ信頼のおける情報でなければかえって混乱を招きます。また、ベンチャー勢力である私にとっては、支持基盤をもつ政党と同じ行動をとっても意味がないとも考えています。
それぞれの議員や政党が重ならない範囲から広く情報を集め、ひとまとめにする機能が必要であると実感しました。あくまでも私案ですが、災害対策本部が設置されるような状況においては、各会派から代表1名が議会に常駐し、都議会全体が一つのチームとして機能するような体制をしくべきではないかと思うところです。
※独自のチャネルという視点から、AIを活用した政策提言を行いました。
2.予算確保と仕組みづくり(一定期間後〜)
→災害後、状況がすこし落ち着いてからが、議員の本当の役割が発揮される場面になります。堤防の決壊などの大きな被害だけでなく、各区市町村の災害情報ページへのアクセスが集中してサーバーがダウンしたという話や、ペット避難やホームレスの方の受け入れといった避難所での課題も見えてきました。
これらの課題解決に向けて、ハード・ソフト両面での仕組みづくりが重要であり、災害と災害の間の期間が議員の本領発揮する場面といえます。また、公平性を確保しながら、迅速に復旧復興のための予算をつけることができるよう、行政に対して良い意味でプレッシャーをかけていくことも必要になります。
※今般の台風19号において感じた課題や政策提言はメールにて受け付けています↓
例えば、議員がチェックすべきこととして、区市町村との連携は機能したかということが挙げられます。今回、30市町村に対して事前に2名ずつ職員を配置し、また昨日と今日の2日間、災害対応の電話相談窓口を設置したとのことです。
都全域から受け付ける形で回線はパンクしていないか。適切な対応ができる先へとつなぐことができているか。まずは2日間の窓口開設とのことだが、中長期の復旧作業においてこそ窓口が必要なのではないか。といった懸念もあります。相談窓口の開設により、都民の皆様の声を聴こうとする姿勢を評価しつつも、冷静に検証しなければなりません。
東京都は天気も回復し、都内の多くの場所ではいつも通りの生活が営まれているようでした。まずは、都庁や市役所の行政機関、道路や水道、下水道といったインフラ、電気やガスなどのライフライン、私たちの生活を支えていただいているすべての方々に感謝申し上げます。
一方で、毎年のように、その威力を増して襲いかかる自然災害に対し、本当にこのままの暮らしを続けていいのだろうかという根本的な問いに対しても答えを出していけるよう、これからも取り組んでまいります。
編集部より:この記事は、東京都議会議員、奥澤高広氏(町田市選出、無所属・東京みらい)のブログ2019年10月13日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおくざわ高広 公式ブログをご覧ください。