今月12日に上陸した台風19号の復旧作業が進む一方で、いまだ被害は拡大しています。
昨日までのところ、この台風での死亡者数は80名を超え、行方不明者の捜索が進むにつれて死亡者数も増えていくという悲しい現実があります。
死者
福島県 30人
宮城県 19人
神奈川県で14人
栃木県と群馬県 各4人
長野県 3人
岩手県、茨城県、埼玉県 各2人、
東京都、千葉県、静岡県、兵庫県 各1人
行方不明者
神奈川県 3人
長野県 2人
福島県、宮城県、茨城県、静岡県 各1人
地球温暖化が原因とも言われていますが、確かに昨今の台風は巨大化しています。それに併せてテレビなどでは、台風情報や避難呼びかけがかなり変化してきました。例えば「数十年に一度」「100年に一度」というような表現もありました。さらに早めの避難を呼びかけたり、「命を守る行動を!」と語気を強めたり、緊張感を持って伝えるなど工夫をしていました。一方で行政も変わってきました。
以前は消防団や消防車のスピーカー、有線放送による呼びかけが主でしたが、現在は行政のホームページをもちろんのこと、携帯やスマホなどでリアルタイムに1人でも多くの人々に行き渡るように情報発信されるようになりました。またハザードマップの作成も進みました。というのも、各市町村が作成しているハザードマップと、水害発生時の国土地理院が作成をしている浸水被害地図がほぼ一致しているからです。今回の洪水被害でもある意味事前にハザードマップで危険地帯を伝えていました。すなわち、ハザードマップの情報は命を守る上で極めて重要有効だったということです。
ところがせっかくのハザードマップ、実は見たことがない人が約4割もいるんです。その内訳は、ハザードマップそのものを知らないという人が19%、見たことがないという人が20%います。また見たことはあるけれども自宅付近の水害リスクを見たことない人が24%、自宅付近の水害リスクを確認している人は37%、ということはハザードマップがあっても6割の人が、自宅周辺の状況をわかっていないということです。
ハザードマップは洪水リスクのある自治体1347市区町村のうち、実に98%が作成をしています。私が横浜市長時代に「ハザードマップは地価が下るから出さないでくれ」などという声もありましたが、それでも出しています。そういう意味ではぜひ役立ててほしいと思います。
一方で今回の台風での行政への批判もありました。例えば、「千曲川の決壊を長野市が適切に伝えていなかった」、福島県いわき市では「送られてきた情報が自分たちのエリアかどうかわかりにくかった」、相模原市ではダムの緊急放流情報に「そんなこと急に言われたって無理だ」ということなどがありました。当然ながら行政はそうしたことを教訓として不備を改めることや、精度をさらに高め進化する必要があるとは思います。しかし、ハザードマップにしかり、報道でも繰り返し情報発信しているわけですから、自分の命を自分で守る、他人任せではなく自らが情報に敏感になることが何より大事だと思います。
編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年10月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。