eスポーツ活性化検討会、スタート!

中村 伊知哉

「eスポーツを活性化させるための方策に関する検討会」が始まりました。
経産省の委託により日本eスポーツ連合JeSUの主催で開催。
座長をおおせつかりました。
市場規模や海外の状況などを調査しつつ、eスポーツの意義と課題を整理し、産業界、政府・自治体などのアクションを講じます。
委員の顔ぶれは、eスポーツのプロ選手、ゲーム業界団体CESA、チーム運営、大会・イベント運営、インテル、日本テレビ、ゴールドマン・サックス、旅行業協会、弁護士、病院、自治体など。
経産省、内閣府知財本部、総務省、消費者庁、スポーツ庁も参加します。冒頭あいさつしました。「いよいよeスポーツが本格化してきました。
東京ゲームショウでJeSUが報告したように、規制問題も視界が開かれるといった環境整備も進んでいます。
昨年が日本のeスポーツの元年だとすれば、次の目標は日本がeスポーツ大国になり、世界の本場になる道筋を描くことでしょう。

ゲームショウでは5Gも注目されていたが、日本はeスポーツと5Gが同時立ち上げなので、一足飛びに発展するチャンス。
東京オリパラを目前にしていて、世界の注目が集まる時期。
このタイミングにどういう戦略を発信すればよいか、この会議も注目されます。
この会場にも多数の関係者がつめかけています。

eスポーツは1産業にとどまらない広がりのある分野。
表現文化であり、教育であり、社会参加であり、地方創生にも寄与する。
その意味や可能性を掘り起こし、発信したい。
ゲームにはネガティブな視線もあるが、それを覆して余りある光を発射したい。
それを政府や産業界のアクションにしていきたい。」

初回の顔合わせですが、たくさん直球が投げ込まれました。みなさんeスポーツの可能性を広げ「エコシステム」を作り上げることが主眼です。
まず、産業として発展させる。メガイベントを活性化。プレイヤーにおカネを回せ。プロライセンスの位置づけを整理。選手ファーストの環境を整えよ。広がりをもたせる意見も多数。
身近なものにせよ。人モノカネの裾野を広げよ。地方創生に役立てろ。法的な課題を整理しろ。
ふむ。
IPや著作権などの扱いは利害もからみ、耳の痛い向きもありそうですが、タブーや大人の事情を置いといて議論することで了承が得られました。
1.スポーツとして、プレイヤーやファンの目線でどう扱うか。
2.産業として、イベントやメディアその他のビジネス機会や投資案件としてどう見るか。
3.公益として、教育、医療、福祉、行政、さらに法律や制度としてどう扱うか。
さまざまな角度があることが共有されました。市場規模をどう測定するかが議論となりました。
eスポーツをどう定義し、どう画定するか。どこまでを市場に含むのか。
ぼくは将来の規模をどの程度として打ち出すかで注目度が変わるため、大きく構えることが必要だと考えます。
大きく、出したい。100億円では産業とみなされない。数千億円、兆円単位の産業分野を展望できるかどうかでしょう。
例えば教育を考えた場合、eスポーツの売上というより、練習や部活動にかけた「コスト」をどう算定するか、で測ることになる。
こういう裾野の広がりを、どう数値化できるかがポイントです。

教育や医療での位置づけも議論となりました。
学校の先生や保護者にどう認知してもらうのか。
引きこもりや発達障害のかたがたにもコミュニケーション手段として有用であることをどう認知してもらうのか。
この会議は、産業界と、教育や医療など社会の双方に向けてメッセージを発しましょう。

戦略を描くに当たり、海外のどのモデルを参照にするかも話題となりました。
欧州ではポーランドが力を入れていて、それは政府主導だそうです。中国、韓国もそうですね。
他方、アメリカのような民間主導の国もある。
日本はどのスタイルを参考にしつつ、日本モデルを作るのか。これも重要なテーマです。骨太で、多彩で、まとめるのが困難なお題をいただきました。
ま、なんせ日本で初めての本格的なeスポーツ戦略会議です。
まずはテーブルにみんなの札を出し合ったところですんで、これからもみほぐしていきます。
ちなみに、この会議は「フルオープン」で行きます。
ご注目ください。

編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2019年12月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。