私は医学の専門家ではありませんし、これは単なる仮説ですが、BCGワクチン接種は、新型コロナウイルスに対する免疫を強化するかもしれません。もし私がアメリカ人か西欧人かオーストラリア人だったら、私は今すぐBCGワクチン接種を受けるでしょう。以下に理由を5つ挙げます。
私はBCGワクチン接種に関する利益相反がないことを宣言しますが、新型コロナの感染拡大を止めることには大きな関心があります。私のビジネスの1つはオンライン上の旅行代理店ですが、その売り上げが枯渇してしまったからです!
①科学者たちがこの仮説を検証し始めた
100年前の結核ワクチンは新型コロナウイルスに対する免疫システムを強化できるのか?(アメリカ科学振興協会)
マックス・プランク研究所(1世紀前にBCGワクチンを開発した33人のノーベル賞受賞者を輩出したドイツ最高の科学機関)
コロナウイルスに対する免疫強化
一部の国、アメリカやオーストラリアでは、BCGワクチンを医療従事者に投与する試験が始まる(Foreign Policy)
②BCGの予防接種政策を国別に示した地図を見ると、コロナウイルスの感染拡大速度や若者の間での広がりと相関関係があるように見える
A:現在、国民全員にBCGワクチン接種プログラムを実施している国*
B:以前は国民にBCGワクチン接種を推奨していたが、現在はしていない国
各国がやめた年については、スペインが1981年、ドイツが1998年、イギリスとフランスが2005-2007年など。
The BCG World Atlas: A Database of Global BCG Vaccination Policies and Practices
C:国民全員に対するBCG予防接種プログラムを一度も実施したことがない国
* ポルトガルでは、BCGワクチン接種は1965年から2017年まで義務付けられていました。
主な相関関係は以下のとおりです。
- イタリア、西欧、米国では感染拡大の速度が速く、ロシア、東欧諸国、武漢市を除くアジア諸国では感染拡大の速度が遅いです。
- アジア諸国では、若者の感染者はほとんどいないか、重症化した例はほとんどありません。しかし西欧やアメリカでは、若者の間で感染がみられます*。
- 西欧では、イタリア対クロアチア、スペイン対ポルトガル**、イギリス対アイルランド、スウェーデン対ノルウェー、旧西ドイツ対旧東ドイツを比較できます。前者の国ではBCGワクチン接種は義務付けられていませんが、後者の国では義務付けられています。同様に、アメリカ対メキシコも比較できます。
- 私は東京とブリスベンに住んでいます。ブリスベンでは標準的な社会的距離がはるかに長く、混雑が少なく、政府の政策は10倍厳格ですが、感染拡大の速度はブリスベンの方が東京より速いです。
中南米では、エクアドルが国民全員へのBCG接種プログラムを実施したことのない唯一の国であり、他のすべての国は実施しています。 100万人あたりの死亡数でみると、エクアドルが2であるのに対し、コロンビアは0.08、ペルーは0.3、ブラジルは0.3です。
* これに関する統計は見つかりませんでした。逸話的なニュース記事のみです。グレタ・トゥーンベリが新型コロナウイルスに感染しました。彼女はスウェーデン人であり、2003年生まれですが、スウェーデンはBCGワクチン接種を1975年にやめています。
** BCGワクチン接種を義務付けたことのある西欧諸国の中では、スペインとポルトガルは1965年に導入した最後の国です。そしてスペインは1981年に、ポルトガルは2017年に接種をやめています。55歳以上のポルトガル人はBCGワクチン接種率が低く、結果として他の西欧諸国よりも死亡率が高くなる可能性がありますが、おそらくスペインよりはましでしょう。
③BCGワクチンにはいくつかの株があるが、ソビエト株・日本株・ブラジル株が新型コロナウイルスに対して最も効果的かもしれない
このコメントはタイガー・パウによるもので、国ごとの違いに関する一番もっともらしい仮説だと思いますが、以下の記事自体には価値がありません。
Why is Japan still a coronavirus outlier?(Japan Times)
* 何らかの理由でコメントが削除されました。このセクションの最初のアイデアはタイガー・パウのものです。彼のコメントを読まなかったら、BCGワクチンに複数の種類があると知ることはなかったと思います。
BCGワクチンのソビエト株と日本株は古いタイプで似ていますが、西欧株は最近のもので、異なります。
以下は、コロナウイルスの感染者が確認されたドイツの州の地図です。旧東ドイツと旧西ドイツの違いがわかるでしょう。人口密度ではこれほど大きな違いは説明できません。東ドイツはBCGワクチンのソビエト株を、西ドイツは西欧株を使用し、1998年に接種の義務付けを中止しました。ワクチンの株やワクチン政策の違いが、この差の原因かもしれません。
次に、州ごとの死亡数を見てください。旧西ドイツと旧東ドイツ(ベルリンを除く)で分けてそれぞれ合計すると、旧西ドイツの10万人あたりの死亡数は0.35ですが、旧東ドイツは0.11であり、ベルリンはその中間の0.21です(3月27日現在)。
下の地図は完全に正しいとは限りませんが、各国でどの株が使用されているかを示す地図を入手しました。
BCG ブラジル株、BCG ロシア/ブルガリア株、BCG 日本株の国々は、新型コロナウイルスに免疫があるのかもしれないという印象を受けます。複数のBCGワクチン株を使用する国にも免疫があるように見えます。 BCG ブラジル株、BCG ロシア/ブルガリア株、BCG 日本株が「I」に分類されていますが、これが有効な株の種類なのかもしれません。
次に、BCG株がどのように分類されるかを調べたところ、下の表を見つけました。 BCG ロシア株、日本株、モロー(ブラジル)株は、第一世代のBCGワクチンです。
同じ論文に、各株の特性の違いを示す表があります。最初の行の専門用語はひとつもわかりませんが、BCG 東京株・モロー(ブラジル)株・ロシア株・スウェーデン株とBCG コペンハーゲン(デンマーク)株・グラクソ株・パスツール株・タイス株の間にかなりの違いがあることはわかります。 BCG デンマーク株は、西ヨーロッパの間で一般的な株です。
イラクは日本株を使用していますが、イランは別の株を使用しています。 BCG World Atlasによれば、イランは1947年から1984年までは一部の地域で現地生産の(オリジナルな?)BCGワクチンを使用していて、1984年に義務化しました。つまり、イランでは高齢者の方が BCGワクチン接種を受けておらず、受けた人も現地生産の(オリジナルな?)BCGワクチンを接種しているということです。イラクとイランの数字を比較してみてください。そのあまりの違いに驚かれることでしょう。
Coronavirus Update (Live)
(イラン:100万人あたり27人の死亡、イラク:100万人あたり0.9人の死亡 3月27日現在)
アジア諸国では、中国は別の現地生産株を使用し、韓国は基本的に BCG デンマーク株ですが、BCG 日本株を使用することもあります。台湾は日本株を使用しています(ただし、地図には現地生産の株が示されています)。
BCG 日本株(東京株)は、新型コロナウイルスに対し非常に大きな効果があるように見えます。①日本、タイ、台湾、イラクはBCG 東京株を利用しており、いずれも中国かイランに近いにもかかわらず、死亡率は低いです。②これまでのところ、イタリアや西ヨーロッパで日本人が重度に感染したり死亡したという報告はありません。③日本では1,349例の感染者の報告があり、うち934人が日本人で415人が外国人です。うーん、外国人の比率がかなり高いですね(3月28日現在)。
私は東京とブリスベンに住んでいますが、オーストラリアの方が日本より感染拡大の速度が速いことを不思議に思っていました。
東京は人口の過密した都市であり、社会的距離を保つことは不可能です。 多くの人は1日2回は非常に混雑した電車に詰め込まれているので、私は高速で感染拡大することを予想していましたが、実際の速度は今のところ遅いです(爆発の予兆はありますが)。
ここブリスベンや他のオーストラリアの主要都市では、標準的な社会的距離は東京よりもはるかに長いので、私はゆっくりと広がることを予想していました。しかし、実際の感染の速度は東京より速いものでした。
私はこれについて疑問に思っていましたが、いまのところ、この仮説が一番もっともらしいかもしれません。
④死亡者と重症者は、おそらくBCGワクチン接種を受けていない人々に偏っている
日本とポルトガルでは、BCGワクチン接種が義務付けられていなかった年齢層だけが死亡しています。
日本では、1951年以降のすべての赤ちゃんがBCGワクチン接種を受けており、日本のコロナウイルスによる死亡者は、1951年より前に生まれた高齢者に大きく偏っています。死亡者45人中44人が70歳以上でした(3月26日現在、新型コロナウイルス国内感染の状況|東洋経済オンライン)。
ポルトガルでは、BCGワクチンは1965年から2017年まで義務付けられており、これは3歳から55歳までがワクチン接種を受けていることを意味します。そして死亡者は50歳以上にしか見られていないようです(3月27日現在、NOVO CORONAVÍRUS COVID-19 RELATÓRIO DE SITUAÇÃO)。
また、ポルトガルは1965年にスペインとともに、BCGワクチンプログラムを非常に遅く導入しており、BCGワクチンを接種していない高齢者が多くいるはずなので、100万人あたりの死亡数は、通常1950年代には導入した他の西欧諸国よりも多いと予想します。でも1981年にプログラムを中止したスペインよりは、ポルトガルの方が良いはずです。
しかし、基本的に死亡者は世界中で高齢者に偏っているため、この仮説はまだ弱いです。西ヨーロッパやアメリカで若い世代が重症化したというニュースをいくつか見ましたが、日本では見たことがありません。この仮説を検証するには、さらに多くの統計が必要です。
⑤BCGワクチン接種には長い歴史があり、人間にとってのマイナス面はおそらくほとんどない
BCGワクチン接種は効かないかもしれませんが、その場合でもマイナス面はほとんどありません。
CDCは、米国で推奨されていない理由を述べています。
日本では、1951年以降のすべての赤ちゃんがBCGワクチン接種を受けており、私はそれに関する問題をひとつも聞いたことがありません。
もし私が北米人か欧州人かオーストラリア人なら、私は今すぐBCGワクチン接種を受けます。
私はBCG株が非常に重要かもしれないことを強調しておきたいと思います。いくつかの医療機関が、コロナウイルスに対するBCGワクチン接種の試験を始めたことは知っています。でも、医療機関が株について言及しているのを見たことがありません。いくつかの株を試し、その中にはBCG 東京株などの強い株を含めてください。
私は世界中の医療専門家にこの仮説を検証してほしいと思います。新しいワクチンの開発には2年かかると聞きましたが、BCGワクチンはすでにあるものだからです。
BCG ロシア株・東京株・ブラジル株は有望に見えます。ちなみに、私はBCG 東京と呼ばれる、ボストン・コンサルティング・グループの東京オフィスで働いていました:)
編集部より:この記事はサトウ・ジュン氏のブログ「JSatoNotes」2020年3月26日の記事より和訳して転載させていただきました。快く転載を許可してくださったサトウ氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はJSatoNotesをご覧ください。