シンガポールへ。今回は基本的に、たまっている日本の仕事をそのまま続けながら瞬間移動するようにして来て用事だけ済ますつもりなのだが、やはり現地メディアなどを見てしまう。Channel News Asiaだけでどれだけ中東の情報が入るか試してみると、背景が分かっていればアップデートの情報は的確なものが選ばれて入ってくる。BBCやスカイニュースなど英系メディアやロイターやAFPなど中東に強い通信社からダイレクトに情報を入れているとやはり強い。このあたり、日本は日本語環境に咀嚼する過程で変な解説が入ったり丸ごと情報が捨てられたりするので制約がある。
ローカルニュースでは、ちょうど2月15日が、第二次世界大戦中の1942年にシンガポールの英軍が日本軍に降伏した日だった。この日はシンガポールにとって第二次世界大戦を回顧する記念日になっているようで、いろいろ関連の行事がある。この記事はチャンギ刑務所が国家遺産に加わったという話だが、その中で他の第二次世界大戦関連の国家遺産としては
the former City Hall,
the former Cathay Building,
the former Ford Factory,
the former Command House,
the Esplanade Park Memorials
the Civilian War Memorial
などがあると記されている。
シンガポールにはたまに立ち寄るので、考えてみると多くは行ったことがあるが、新たに整備されているところもある。
別にこちらで日本占領時代のことを回顧しているからといってこちらの人が「反日」になっているわけではない。歴史番組を見ていると、日本の占領統治でひどい扱いを受けた、収容所で労働させられた、といった話は当然多く出てくるが(好き好んで日本の統治下に入ったわけではないので当然である)、その後のシンガポール独立後の指導層の回顧談として日本の収容所の粗末な環境下で「食べ物の大切さという倫理を覚えた」とか、イギリスがあっけなく降伏したことで白人の植民地統治が永遠でないと知ったとかいう話もしている。ただ「日本が解放した」というストーリーは都合が良すぎる。その後の長く複雑な歴史について全く知らず(また日本占領期のことも知らず)、「日本が解放した」とだけ言っていたら、それこそ「日本人は無知なんだな」と思われてしまうだろう。
編集部より:この記事は、池内恵氏のFacebook投稿 2016年2月15日の記事を転載させていただきました。転載を快諾された池内氏に御礼申し上げます。