米大統領選を迎えメディアが政治のカバレッジを増やすなか、コロナ禍による外出禁止措置もあって主要ケーブル局のニュース・チャンネルは軒並み記録を更新していきました。
保守系フォックス・ニュース・チャンネル(FNC)の平均視聴者数は前年比48.1%増の196万人と、トップの座を堅持しました。実に74期連続、6年以上にわたって首位を死守しています。
2位はリベラル系のMSNBCで同30.1%増の121万人、3位は同120%増のCNNでした。3大ニュース局そろって、4~6月期ベースで過去最高を叩き出しております。
コア視聴者数(25~54歳)でも、FNCのリードは変わりません。ただし、2位はMSNBCに代わってCNNが浮上します
1位 FNC 前年比61.2%増の36.6万人
2位 CNN 前年比150.0%増の33.5万人
3位 MSNBC 前年比45.1%増の19.3万人
画像:ニュース番組でトップもFNCで「Tucker Carlson Tonight」。司会のタッカー・カールソン氏(左)、米国ではCNNのアンダーソン・クーパーより有名だったり?
コア視聴者の間でCNNが急増した背景としては、コロナ禍で在宅勤務を余儀なくされたほか、5月25日に警官による黒人男性殺害事件が発生し、ブラック・ライブズ・マターが全米を席捲した時期と重なったためでしょう。
とはいえ、CNNの視聴者数の急増は、米大統領選を控え非常に気になるところ。そこで、2016年の米大統領選と比較してみました。2016年通期の25~54歳のコア視聴者数は、3大ニュースネットワークで以下の通り。
1位 FNC 前年比42%増の48.1万人と2010年以来の高水準
2位 CNN 前年比80%増の42.3万人と1995年以来の高水準
3位 MSNBC 前年比97%増の27万人と過去最多
当時も、CNNやMSNBCを始めとしたリベラル寄りメディアがFNCを超える増加を記録したことが分かります。当時、選挙人数でトランプ候補に軍配が上がりましたが、一般投票でクリントン候補が勝利していましたよね。今年はCNNがコア視聴者数で2016年時点以上の伸びを達成しており、視聴者数自体もFNCとの差を近年稀にみるほど縮めています。SNSがあらゆる世代で浸透しつつあるとはいえ、CNNを始めMSNBCの猛追が選挙戦を占う上で有用となるのか、11月3日の結果が楽しみです。
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK –」2020年8月20日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。