日々の暮らしで、思い通りにならないことや、憤りを感じる出来事が起こる。これは誰にでもあることです。
問題は、そのようなストレスに対して、自分がどのように対応できるかです。
同じことが起こっても「許す力」によって許せる範囲を広げることができれば、心を乱されることなく、人生を豊かにできるのではないか。年齢を重ねそう感じるようになりました。
生来、我が強くわがままな性格なので、特に若い頃は、些細なことを許すことができず、すべてにおいて自分の思う通りにならないと気が済まないことが多かったような気がします。今振り返れば、それはただ単に自分の器が小さかっただけのことです。
一般に、完璧主義を求める人ほど、周りの小さな間違えや気に入らないことを大きく捉え、それを修正しないと気が済まない傾向になりがちです。
しかし、そんな器の小さいままの人は、いつまで経っても不満と怒りだらけで、心の安らぎや充足感を得ることができず、感謝する気持ちも起こらないでしょう。
「許す力」と高めるには、どうしたら良いのでしょうか。
年齢が高くなると、人生経験が豊富になって、物事を多面的に見られるようになることから、許す力は高まるはずです。でも現実を見ると、コンビニのレジのスタッフの些細なミスを怒鳴りつけるような50代の「イタいオッサン」もいたりするのです。歳を重ねれば良いというほど、単純なものではありません。
私は、ロールモデルを見つけることが、自分に「許す力」の大切さを知る機会になると思っています。
かつて、仕事をしていた会社で、担当者の操作ミスで顧客のメールアドレスが外部に漏洩したことがありました。会社の屋台骨を揺るがす大事件でしたが、責任者は事故を起こした担当者を怒鳴りつけたりすることなく、冷静に事態の収束にエネルギーを集中させていました。
本当の心の中がどうなっていたのかはわかりませんが、その冷静沈着ぶりに感銘を受けました。そして、自分も同じシチュエーションで同じように対応できる人になるたいと思ったのを覚えています。
「許す力」によって、怒りの範囲を少しでも小さくできれば、その分だけ人生は豊かになります。
人間ですから全てを許せるような全能の存在にはなれません。だから、完璧ではない自分に対しても苛立つ必要は無く、ただ許して受け入れれば良いのです。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年11月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。