日本人の「リスクを取らないリスク」はこれから益々大きくなる

資産運用の世界でリスクとは「不確実性」のことです。リスクが大きな資産とは、将来の価値がどうなるか不透明です。逆にリスクが小さい資産とは、将来の価値が確実に予測できるものです。

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例えば、日本円の定期預金は、為替リスクもなく、一定金額までは元本保証で、一般的にはリスクの小さい資産と考えられています。

しかし、これは円貨での名目の価値が安定しているだけに過ぎません。

元本保証とは額面上の金額が目減りしないだけです。もしインフレになれば、預金の実質価値は目減りしていきます。また円安になれば、円の価値は他の通貨より小さくなり、貨幣価値が相対的に下落することになります。

つまり、元本保証の預金には「リスクを取らないリスク」が内包されているのです。

昭和のバブル以降は、為替は比較的安定し、物価はデフレ環境が続いてきた日本では、いまだに預金信仰が根強く残っています。

特に高齢者は、リスクに対して慎重で、この傾向が強いのです。

実際、日本人の個人金融資産の半分以上は預貯金という日銀のデータもあります。

また、預金と同じようにインフレや円安に弱いのが年金です。

そう考えると、これからのマーケット環境の激変で最も大きなダメージを受けるのは、日本の高齢者ではないでしょうか。

年金と預貯金の取り崩しで老後の生活をやりくりする今までのやり方は、成り立たなくなる可能性が高まっています。

これからの日本人に最も必要なスキルは、仕事ではなく、金融リテラシーを高めること。正しい知識を早く得て、実践しなければお金の不安は解消できません。

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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2022年4月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。