IEEE802WGにおけるTV White Spaceに関係する標準化議論が、具体的になりつつあります。
米国では、 昨年 FCCがPart 15 Subpart H Television Band Devices rulesを示し、英国 Ofcom (UK)やカナダでは、ディジタルデバイド対策としての利用を検討してます。 また、 EUもこの利用についての協議をはじめています。
IEEE802WGは、政府のルール制定基幹ではなく学術研究者や専門家の個人の集合体ですが、そこで制定される標準が、デファクトスタンダートとして,産業的な競争力を持つ事は,既に我々は充分に知っています。
今、私の参加している802.11 TV White Spaceのワーンキンググループでは、標準化プロジェクトとしてスタートするために必要なPAR(Project Authorization Request) と 5 Criteria (Broad Market Potential/Compatibility/Distinct Identity/Technical Feasibility/Economic Feasibility)の策定についての議論がはじまっています。
これ以外に、IEEE802.22、IEEE1900.4a、ECMAでも、標準化にかかわるプロジェクトがスタートされています。
ここで重要なことは、各国の状況により、その利用形態や免許方針などは違うわけですが、米、英、カナダ、ECなどでは制度、方針が監督官庁から示されたり検討がはじまっており、これらの情報を受けてIEEEなどの民間ベースでの標準化が動き出していると言う点です。
実際にワーキンクグループでは、FCC以外のOfcomやカナダ、ECの状況も、インプットされて議論の検討対象になっているわけですが、日本については、まったく情報もなく、また議論の対象にもなっていません。
これは、総務省にとって、IEEEが国を代表する標準化機関ではないという認識があるという面と、日本の産業界もこういう標準化の策定に、自ら参加して競争優位性を得ることに積極的ではないという背景があるように思われます。
日本からの参加者は、情報収集をしているのがメインですから、発言もなければ発表も無いのが現状です。
日本では、電波産業界(ARIB)という国内標準化団体があるのですから、このあたりがもっと積極的に参加して、標準化の中に日本の情報をインプットしていけば、仮にその使途やルールに違いがあっても、標準のScopeに入るわけです。 このままでは、ひたすら蚊帳の外になって、ここでもガラパゴス化が進のではと危惧しています。
コメント
中川と申します。
>IEEEが国を代表する標準化機関ではないという認識があるという面と、日本の産業界もこういう標準化の策定に、自ら参加して競争優位性を得ることに積極的ではないという背景があるように思われます。
このご指摘は正鵠を得ていると思います。
昨年のオリンピック前の競泳スーツ問題など、我が国の各機関の国際戦略不足が露呈しました。
国際柔道連盟がパリにあり、理事に日本人が一人もいない現状やUNを「国連」とごまかして訳しているようでは、未来永劫日本は主体的に国際社会でプロフィットを得ることは出来ないでしょう。
全くその通りだと思います。ここに現在の日本の問題点の多くが象徴的に垣間見られる気がします。
UHF帯を中心にしたホワイトスペースの利用は、総務省も既に「原則的に解放する」と話してきましたが、「周波数の開放」は、どんな場合でも既存テレビ局にとってはあまり嬉しくないことでしょうから、彼等に気兼ねする人達は、誰も敢えて踏み込もうとはしないでしょう。
そうすると、ここでも割を食うのは日本のメーカーで、日本での重要顧客に気兼ねをしているうちに、世界市場に打って出る機会をどんどん失っていってしまうということです。
大手電機がWatchしている状況でしょうか。
日本の電気産業は、今までデファクトスタンダードが得意でしたが、今後は国際規格にはいらないとガラパゴスの恐れ大です。
市場を考えると、BRICsを意識して、彼らを見方につけるような提案ができないと意見が通らず欧米に取られます。
産業界や行政(経営者、大臣)には、これを技術ではなく外交と捉えて取組む意識が重要だろうと思います。 まずはビジョン、スタッフ、予算の拡充をお願いしたいところです。
(ARIBは調整組織にすぎないです。企業が一人で立ち向かう強さ、行政のサポートが必要です。)
受け売りになりました...
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みなさん、コメントをいただきありがとうございます。
規制緩和を求めるということは、同時に民間企業が自ら積極的に行動をすることが求められると思ってます。
IEEEに対する総務省のスタンスが、ITUやISOよりも消極的であるとしも、それを批判する事に意味はないと思います。 むしろ、民間が積極的に活動し、その中で必要であれば監督官庁に情報を提供し、また協力を要請して行く姿勢が大事だと思っています。 携帯端末のガラパゴス問題でも、確かにGSMの日本での導入が出来なかったのは、大きな原因かもしれませんが、結局はキャリア依存型の端末メーカーの姿勢のほうが大きな問題だったと思います。
韓国は、CDMAというW-CDMAほどではなくても、GSMよりもマイナーな方式を採用しましたが、LG等の端末メーカーの国際展開を遅らせてはいないでしょう。 最近、日本の国内で、LGがJapan モデルの広告展開をしている姿などは、なかなかなものだと思います。
TV-White Spaceも、民間がこれに興味をもって、積極的に国際的な舞台で活動していくことが重要ですが、まだピンと来ていないんだと思いますね。