IR住民投票を「負けそうだから実施しない」のか?

こんにちは、音喜多駿(日本維新の会 参議院議員 / 東京都選出)です。

子育て支援など多くの政策で先進事例を作り、その情熱的なお人柄も大いに尊敬している明石市の泉房穂市長ですが、維新関連ではヒートアップされることが多く(苦笑)、IR住民投票でも誤解をされているようなので説明をしておきます。

もっとも重要な点は、上記ツイートで主張されている「大阪都構想」の住民投票は法律上実施が必要なプロセスであり、法的拘束力・必要性を持たない住民投票とは位置づけが根本的に異なるということです。

IRはすでに議会で区域整備計画等は議決され、国の認可待ちという状態であり、地方自治体における意思決定・法定プロセスは完了しています。

住民投票で賛成多数にならなければ前に進めない(法律上そう規定されている)大阪都構想とはまったく位置づけが異なるものを、あたかも同列かのように並べることは適切とはいえません。

泉市長は、「世論を二分している大きなテーマについては住民投票に問うべき」という信念を持たれているようで、それ自体は政治信条なので正解はないでしょう(それでも議会で否決されて、明石市でも住民投票は行われていないようですが)。

ただもう一つ論点として、果たしてIRが大阪において「世論を二分するような(決着がついていない)大きなテーマ」と言い切れるのかどうか?があります。

維新は言うまでもなくIR推進を各級選挙の公約に掲げ、ありがたいことにそのすべての選挙で信任を受けてきました。

逆に、菅直人議員が乗り込んで大々的にIR反対運動を展開した候補の例をあげるまでもなく、IR反対を選挙の重点公約に掲げた候補の多くは、得票率が低迷して議席を逃すに至っています。

議決が行われた大阪府議会のみならず、この間に度々おこなわれた国政選挙や首長選挙においても、IR推進を明確に公約に掲げた候補が十分な得票・民意を獲得しているのです。

こうした結果を無視して、有権者数の50分の1の署名で実施要求できる住民投票が「唯一の民意」かのように振る舞うことは、あたかも「勝つまでジャンケン」のようにも思えます。

もちろん法律で定められた住民投票は、包括的な争点で選挙が行われる間接民主主義の欠点を補うものであり、その存在意義のすべてを否定するものではありません。

ただ議論の立脚点としては、我々が2人の代表の政治生命を賭けてまで行った「大阪都構想」における住民投票と、今回のIRにおける住民投票は、その背景も法律的立ち位置も大きく異なるということは、立場ある方には立脚点として踏まえていただければと願うばかりです。

なお、本件をもっても泉市長に対する敬意はなんら変わることなく、今後も各政策において是々非々の立場で、先進的な事例についてはぜひ引き続きのご指導をいただきたく存じます。

それでは、また明日。

elenabs/iStock


編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2022年7月24日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。