第七波、日本のコロナ対策分科会専門家たちは国民を愚弄している --- 山登 一郎

コロナ第七波、発熱外来診療逼迫、保健所逼迫、救急搬送困難事案、自宅療養の悲しい状況、病床不足、そしてスタッフ感染などでその他一般の患者が診療を受けられない医療逼迫でまた大騒動。昨年正月第三波から同じ茶番を演じている。その原因を分析し、解決法を提案し、専門家有志などの提案を批判する。

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まず検査制度を要約する。一昨年末民間自費検査がスタート。市中検査での陽性判定者は医療機関での行政検査再受検を要請され、保健所経由で感染確定、公表新規感染者数に計上される。先の記事に述べた。ワクチン効果もあり、こうした無症状感染者が大多数だ。その市中感染者数情報が日本では収集公開されていないことを告発していた。

第三波はじめ、特に第七波までの感染拡大の原因を分析する。市中には多数の無症状感染者が滞留している。年末年始、年度末、夏休み(オリンピック)など季節性イベントに際し、旅行や帰省のため、市民は民間自費(無料)検査を受ける。一部陽性者が判明し、彼らは発熱外来を受診するため列を作る。有症状の咳や悪寒のある人も同列に並び競合、診療所では受診者多数で受診拒否も起こる。この発熱外来受診競争が元凶だ。受診者多数で保健所逼迫、自宅療養で急変する有症者も増え、結局感染拡大・医療逼迫になってしまうのも頷けるだろう。

この一年半、この同じことを各所に訴え続けたが、どこも受け入れなかった。

上記原因分析に対し、解決法は明らかだ。欧米韓国のように、市中検査を広く行い、その陽性者をそのまま大規模療養施設に隔離すれば、発熱外来診療逼迫はじめすべての問題は解消する。そんな欧米の情報を知っていながら、日本では学ぼうとしない。

最近、都は各自検査を行い、陽性者は登録センターに電話して感染確定するという制度を提案した。これは欧米に倣っており、納得のいく有効な変更だと評価する。惜しむらくは、自宅療養でなく、大規模療養施設を準備して欲しい。

ところが専門家有志はじめいろんな方が、全数把握しないとか、企業には陰性証明を求めないようにとか、を提言する。彼らは自分たちの言動に責任を持っているのだろうか。国民に混乱を来し、愚弄していると批判したい。

これまでも民間自費検査結果情報を非収集非開示だった。市中無症状者を把握せず、市中感染状況を知ろうとしなかった。全数などずっと把握してこなかったのだ。今更全数把握しないとは何事だろうか。単に保健所など経由せず、市中民間自費(無料)検査陽性者を直接療養施設で隔離すればいいだけだ。その陽性者数もしっかり情報収集公開すべきだろう。

陰性証明を求めないで欲しいとか、自分たちの中で論理が成り立つのだろうか。市中民間自費(無料)検査陽性者は、医療機関での行政検査再受検を要請される。その制度は厚労省が作り、分科会がそれに則り対策を協議していたはずだ。どういう意識で、こんな正反対の提言をできるのだろうか。

そして報道も含め、毎度感染拡大と騒ぐ。ここで述べた分析に基づけば、ネットに感染拡大している訳ではない。季節性イベントで市民は検査をして陰性確認したいのは当然で、その中に一部陽性者がいる。そうした市中滞留無症状者が各季節性イベントに際して急速にあぶり出されてきただけだと推定している。

しかも最近医療関係者が受診・受検を控えて欲しいと声明を出している。当然逼迫に対し、そういう発想になるのも頷けるが、実はここで述べた原因を考慮すれば、全く的外れだということが分かる。十分原因を分析せず、国民に医療受診を控えて欲しいとか、救急車を呼ばないようにとか、国民に大きな負担を迫る要請をする日本の医療関係者は、やはり糾弾に値すると心配する。

山登 一郎
東京理科大学基礎工学部名誉教授。大学では微生物学を講義していたが、7年前退職。2020年クルーズ船入港時よりコロナ関連の報道に注目、検査制度の不備を指摘し続けている。