ニューヨーク市に筆者がサヨナラしてから、つくづく実感するのが家賃の違いです。筆者、NYではエンパイア・ステートビルから2ブロック先というマンハッタンのど真ん中に6年間住んだ後、家賃の高騰と洗濯機のない生活に嫌気がさし、マンハッタンの東隣りはロングアイランド・シティに避難したものでした。しかしながら、家賃の上昇はとどまるところを知らず。遂に帰国を決意した次第であります。今住んでいる東京都内の物件がバスルームとトイレ別、洗濯機持ち込み可でマンハッタンのワンルーム以下のお値段とは、何て素晴らしい!
NY市沿線マップ、駅別での1ベッドルーム(1DKあるいは1LDK)の家賃はこちら。
(出所:dna info)
そして今、この数字を見てますます帰国の決断が正しかったとの認識を得ています。不動産サービス会社マーカス・ミリチャップの調査によると2015年10-12月期の家賃でワースト1位は、やっぱりマンハッタンで中央値が4374ドル(約46万8000円)也。マンハッタン居住者の世帯年収7万8312ドルですから、67%に相当します。ニューヨーカーの年収に占める家賃の割合が50%という観測は、それほど的外れではないことが分かりますね。目下のところ高級コンドミニアムなどの需要低下が指摘されるなかでも、値上がり率は5.6%と比較的高い。2桁に乗せていないため、「安定してきた」と評価されていることが悪いジョークのようです。調査元によって家賃の中央値が変わってくるとはいえ、50万円近いとは頭がクラクラしてきますね。
少なくともニューヨーカーからすれば、東京での暮らしは格段にお手頃といっても過言ではありません。アパートの管理業者が常に施設を清掃するだけでなく、設備を点検し管理を行う徹底ぶりに、日本暮らしが初めてというアメリカ人の主人は感動しきり。NYではコンドに住んでいても実感できなかったクオリティ・ライフに、大層喜んでおります。
そんな主人が見つけてきた統計が、こちら。
(出所:resources.realestate)
2014年の世帯支出が月当たり31万8800円に、愕然としていたのですよ。しかも世界で最も物価が高いとも言われる東京を含め都市部での世帯支出が32万1400円で、東京の家賃平均にあたる13万円程度(45平方m)を合わせてもマンハッタンの家賃以下で生活ができるという事実に、主人はあらためて驚愕したという話です。もちろん日本国内では議論の余地がある話ですが、あくまで外国人の目線だと東京は非常に住みやすい環境といっても過言ではないでしょう。
(カバー写真:Mr.TinDC /Flickr)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2016年5月9日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。