最近、ポスト石油戦略研究所代表 大場紀章(おおば のりあき)氏のご活躍が注目されています。実は、大場さんのブレーク(?)前に「地球温暖化防止政策に対して研究者の取るべき行動は?」と題してユーチューブ対談をさせていただき、その様子も言論プラットフォームアゴラで記事を取り上げていただいています。
いつも大場さんのエネルギー関係に対する視点の面白さに眼から鱗が落ちる思いで勉強させてもらっているのですが、どのようなインプットをされているのか興味がありました。
そんな中、大場さんのYouTubeチャンネル「ポスト石油戦略研究所」
で、エネルギー関係のお勧め本として、
古舘恒介(著)「エネルギーをめぐる旅――文明の歴史と私たちの未来」
を紹介されていました。
著者の古舘恒介さんは慶應義塾大学理工学部応用化学科卒のエンジニアで、日本石油に入社し、石油事業の上流から下流まで広範な事業に従事されたそうです。エネルギー業界に職を得たことで、エネルギーと人類社会の関係に興味を持つようになったということで、タイトルが示すように、ご本人も多くの旅行を通じて、人類とエネルギーの関係の歴史を紐解いています。
冒頭の感じからは、バックパッカーのバイブル、沢木耕太郎さんの「深夜特急」
の匂いがプンプンして、世界放浪、バックパッカーの僕自身は途端にこの本に魅了されてしまいました。「深夜特急」と本書の決定的な違いは、前者には旅の目的はなく(あえて言えば思いつきのヨーロッパの最西端に行くこと)、後者には「人類のエネルギーの歴史を理解する」という明確な目的があることです。
各章の間にコラムがあり、著者の古舘さんが訪ねた地区でのエピソードも満載で、色々な蘊蓄が各所に散りばめられているので、僕の講義でもその蘊蓄のいくつかはいただきたいと思ったワケです。
全部で4部ある章のうち、僕の一番のお気に入りは[第2部 知を追究する旅――科学が解き明かしたエネルギーの姿]ですが、全ての章を存分に楽しめて、脳内でエネルギーを巡る旅に出ることができました。
エネルギー関係の本は、えてして仕事がらみや勉強がらみで読むことが多いですが、この本は余暇の時間にエンタメとして読むこともできる素晴らしい本なので、工学部の学生さんにはもってこいのものだと思います。
古舘恒介(著)「「エネルギーをめぐる旅――文明の歴史と私たちの未来」
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動画のノギタ教授は、豪州クイーンズランド大学・機械鉱山工学部内の日本スペリア電子材料製造研究センター(NS CMEM)で教授・センター長を務めています。