電気自動車Teslaの成功で世界一の金持ちになったイーロン・マスク氏、今のところ失敗に見えるTwitterのせいでTesla株が暴落、その座から滑り落ちました。そして多くの株主に不満が渦巻いています。でもこんな強気のツィートをしています。
I will make sure Tesla shareholders benefit from Twitter long-term
— Elon Musk (@elonmusk) December 13, 2022
Teslaの株主が長期的にはTwitterから利益を得られるように確約する。
どこからこんな自信が生まれるのかさっぱりわかりません。しかし、こんな強気発言の一方で、強引な人減らしに加えて、経費節減も強引に進めています。
3回前のブログで紹介しましたが、カフェテリアでの豪華無料ランチに手を入れたほか、補助金付きのスポーツジムのパス、携帯電話の請求書、育児手当などの福利厚生まで手をつけていました。加えて会社に寄せられた各種請求書も精査し、払わないケース続出だとか。
たとえば社員の出張に関する旅行社からの数十万ドルに及ぶ請求には、「元の経営陣に承認されたもの」として払わず、元社員の退職金についても払わないことを検討中だそう。社員に渡していたコーポレートカードも使えなくしました。
さらに7500人いた社員を半減した後、「ハードに働く人以外不要」とのお触れで、さらに減って、今は3分の1近くの2700人程度まで減ったので、オフィスの必要性が大幅に減り、リース契約についても交渉し、家賃は払っていないよう。
人もオフィスも減らし、さらに豪華食事提供も止めるとなれば、備品も不要になります。そこでたくさんの品々がオークションにかけられることになりました。競売を請け負ったのはHeritage Global PartnersとBidSpotterのようで、そのページに行くと、もう何百件もの品がアップされていて見惚れます。
一台何万ドルもすると思われるミートスライサーをはじめとする各種の高級キッチン用品、高級エスプレッソマシーン、高級ブランドで一脚2000ドルはするとEamesのオフィスチェア、日本では何十万円もするというKnollのビジネスチェア、デジタルホワイトボードなどのほか、Twitterの木製ロゴも売りに出され、さらには気晴らし用だと思われる自転車様のスムージー作り機などもありますので、しばし見惚れました。
これらはほとんど入札の咲いて価格が25ドルに設定されていますが、おそらく何十倍もの価格で飛ぶように落札されることでしょう。しかし、440億ドルで買収したマスク氏にしてみればスズメの涙。買収の際130億ドルのローンを組み、毎年の返済額は10億ドルに及ぶそうですから、その1年分にもならないでしょう。
しかし、オフイスの縮小とともに、贅沢な事務機器や豪華キッチンが一掃されることで、「シリコンバレーは贅沢なIT企業の集まり」というイメージがひっくり返り、「Twitter2.0」でマスク氏が社員に求める「死ぬほど働け」精神の基盤ができるかもしれません。
それが他のシリコンバレーのIT企業に波及すれば、マスク氏の存在が見直されるかも。その時期はわかりませんが、それが冒頭で紹介したマスク氏のツィート「暴落したTeslaがTwitterのおかげで盛り返す」ことなのかもしれません。そうなればマスク氏が再び富豪世界一に戻れるのかも。
編集部より:この記事は島田範正氏のブログ「島田範正のIT徒然ーデジタル社会の落ち穂拾い」2022年12月15日の記事より転載させていただきました。