スペースX社の全長120メートルにもなる巨大宇宙船「スターシップ」と「スーパーヘビー」打ち上げ。一部始終見ていました。管制室前方にマスク氏が座る中、当初は「あんなでかいの、おおっ!飛んだわ」と思ったのもの数分後にはあれれ、となり爆破されました。しかし、初回目標としては十分達成したようでマスク氏はやや渋い顔でしたが、スタッフは大喜び。日本のロケット打ち上げ失敗はまるでお通夜だったのと好対照でした。前向きになるか、プレッシャーを感じるかです。失敗あっての成功なのですからそれを糧に頑張ってほしいものです。
では今週のつぶやきをお送りします。
投資のリスクを考えよう
個人的にショックだったのは青学の原監督がクレディのAT1債を持っていて年収の何年分かが一瞬にして紙切れになったと報じられたことです。原監督は自分の経験を披露することで教訓にしてもらいたいとのことでした。そのクレディのAT1債、日本では1400億円分も販売されたとのことですので相当多くの方がしょんぼりしているのだと思います。
本件については売る方も売る方、買う方も買う方だと考えています。確かに利回りは良いのです。そして一般向け商品ではないので証券マンの「耳元の囁き」で顧客はコロッと騙されるわけです。いや、騙したわけではなく、売る方の証券マンもスイス発行のAT1債が他国のAT1債と条件が違うなど知らなかったわけです。知らない者が知らない人に商品を売るのですから無理があります。最近の証券化された商品は複雑怪奇で何がどうなっているのかわからないものだらけです。AT1債が何か説明できる証券マンがどれぐらいいるのでしょうか?
昨日のブログでは日本の投資家がアメリカ株にシフトしていると申し上げました。私は北米で長く投資をしていますが、正直言うとこの1年近く売る一方で一株も買っていません。理由はあまりにも不確定要素が多すぎるのです。多くの市場参加者も戸惑っているし、出来高も細ってきています。発表になりつつある第1四半期の決算は冴えません。中堅商業銀行の決算からは嫌な想像がよぎりました。また失業保険の申請者数がジワリと上昇基調になっていることも含め、景気は調整入りする公算が出てきています。北米投資には相当の注意が必要と思います。
遠い国スーダン内戦が話題になるわけ
スーダンの内戦が激化しています。国内報道は邦人救助のため自衛隊が向かうというごく一部の話題だけです。報道姿勢に「どうせ、日本人はスーダンなんて興味ないだろう」という安易な姿勢が見て取れます。残念です。今回のスーダンの内戦の理由は権力闘争、それに尽きます。ある意味、つまらない理由です。そもそもスーダンは英国とエジプトの共同統治だったものが独立、その後、第一次、第二次内戦を経て南スーダンと分離したいきさつがあります。分離したのは宗教分離のようなもので北がイスラム、南がアフリカのアニミズム的な宗教で非イスラムとしたほうがいいのでしょう。
問題は南スーダンに資源が偏っているため、未だにその権利関係が不明瞭だということ。では単なる内戦で周りは傍観かと言えばそうでもないのです。必ずちょっかいを出す国はあります。これがことをややっこしくします。まず、国境を接しているエジプトは軍部を支持しています。対立する「即応支援部隊」(RSF)は30万人が犠牲になった第二次内戦の時に生まれました。軍部とRSFの違いは同じイスラムながらアラブ系の軍部に対して非アラブ系のRSFという構図です。つまり今は民族間の戦いです。ややっこしいのはこのRSFにはサウジとアラブ首長国連邦がテコ入れしているようなのです。
サウジはアラブ系なのになぜ、と言われれば軍部はイスラム原理主義的思想であり、過激なため、サウジは敵対視しているという訳です。また、ロシアはRSFを支援しています。となればアメリカは軍を支持するのか、といえばイスラム過激派なのでそういう訳にも行きません。中国はもっと微妙でアフリカに相当のテコ入れをしてきたはずなのにその権益は南スーダンにあるが北とはまだ揉めているということで様子見です。仮にRSFが優位になった場合、RSFの組織は言葉も民族も違う寄せ集め集団なのでまた分離するでしょう。つまりこれがアフリカのレベルだということです。ビジネス開拓などという簡単な話ではないわけで良い勉強になります。
何処に行く「学術会議」
学術会議法改正案の国会提出を岸田首相が見送りました。様々な声が上がっています。私の基本的スタンスは以前から「民営化」です。そもそも日本学術会議は「科学の向上」を目指し、形の上では総理が所轄、経費は国の予算、活動は政府からは独立という美しいフォーメーションですが、そんなきれいな関係が世の中に構築されると思っていたら「頭がお花畑」な話です。日本が高度成長期をまっしぐらに突っ走っていた70年代までは機能していたとされますが、その後は紛糾が続きます。
今回岸田総理が法案提出見送りをしたのは「選考諮問委員会」の新設と会員候補の属性の配慮とされます。この背景は今の学術会議の会員候補は現職の会員の推薦に基づくものであり、当然ながら学術議論に偏りが生じる為です。つまり、会員の透明化です。と同時に透けて見えるのは政府の意向を汲むことだろうと察します。これは世の常なのですが、金を出す人に足を向けて寝る人はいないのです。今までは政府との対立構造も作り出せたのですが、この改革案は政府への忖度が起こり得るでしょう。
とすれば改革案では意味がなく、独立させて学者同士が健全な議論を行う場を作り、政府がその内容を吸い上げるか、参考に留めるか、はたまた国際舞台に押し出すか、ケースバイケースで決めていくしかない気がします。そもそも政府の意向は学術的意向と一致するものではないのです。政府は時としてご都合主義もあるし、社会情勢の中での判断を強いられることもあります。一方学者はそんなことで信念を変える気はさらさらないでしょう。ならば、そもそも機能しなくなった学術会議の改革法案など意味がないだろうというのが海外にいる者のドライな目線であります。
後記
6月に日本で会議があるため航空券を取ろう2カ月ぐらい前から価格をチェックしていました。ダイナミックプライシングですので株価のように日々変動します。おまけにその変動幅は尋常ではありません。グーグルフライトを使い、監視情報が送ってもらうのですが、当初1100㌦台で放置していたところみるみるうちに上がり、先週にはビジネスクラス料金かと勘違いするほどの3100㌦と3倍近くまで跳ね上がります。ところが一昨日、急落し1500㌦台に。ここで迷わず購入。翌日には2200㌦で今日は約3000㌦と再び急上昇中です。航空券の値動きが商品相場のようになるのは常識的におかしいし不健全です。価格幅を設定すべきでしょう。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年4月22日の記事より転載させていただきました。