久しぶりに真面目に書きます。
私は岐阜に来る前は、千葉の分譲マンションに住んでいました。いつ転勤になっても良いように、築浅・駅近の物件を買っていました。家族ごと岐阜に引っ越すことが決まり、購入と売却を同時並行で進めなくてはいけなくなりました。
非常に運の良いことに、岐阜でバリアフリーな手ごろな物件が見つかり、千葉でも想定内の金額での買い手が見つかり、あとは事務手続きを進めるだけでした。一点大きな問題を除いて。
それは「団信」です。
団信とは、住宅ローンを組む生命保険のことで、借入人が死亡もしくは高度障害となった場合に、ローンの残額を保険で賄う仕組みとなっています。私も千葉の物件は団信に加入して購入しました。
時は2014年10月、ALSのことを世間に公表する前でしたが、岐阜の物件を買う際には、告知義務違反をする訳にはいかないので、正直にALS罹患と書きました。すると案の定、その健康状態では、団信に入れませんとなりました。そんな訳で、今のマンションは私が死んでも、ローンは残るので死ねません。団信なしでよく金融機関がローンを組んでくれたなと思います。
一方、千葉の物件の売却ですが、ローン残額について、診断書を書いてもらい高度障害に該当するとして、団信に申請しましたが却下されました。団信の定める高度障害の程度に症状が到達してないから、という理由でした。私は、ALSは現在の医学では治ることはなく、近い将来必ず高度障害に該当するようになります、と言いましたが、「あくまで見るのは現在の症状です」と認めてもらえませんでした。
わかるけど、やるせない思いでした。
保険加入する時は
ALS、将来のリスクがあるから加入はできません
保険金支払いの時は
ALS、将来奇跡が起こらない限り支払事由に該当するが、現在そうじゃないから払えません
ということです。
そこから、約半年で私の身体は高度障害まで進行しました。
以上、ちょっと悲しかったお話でした。
恩田聖敬
この記事は、岐阜フットボールクラブ前社長、恩田聖敬氏のブログ「片道切符社長のその後の目的地は? 」2016年6月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。