オーバーツーリズム対策は入場料徴収しかない

イタリアの人気観光地ベネチアは増え続ける観光客への対策として、日帰り客から5ユーロの入場料を徴収するそうです。

導入は来年からで、対象は14歳以上。春から夏の繁忙期の連休や週末など約30日間にまずは試験的に導入するとしています。

わずか5ユーロ(約800円)で効果があるとはあまり思えませんが、徴収方法などに問題が無ければ、対象範囲や金額を拡大していくと予想します。

日本でも富士山に大量の登山客が殺到して、登山道で渋滞が発生したりゴミの持ち帰りのマナーの問題や、準備不足の登山者の遭難救助が発生するなどオーバーツーリズムの問題が露呈しています。

富士山も入山料の徴収をすべきという声が高まっています。

人気の観光地は入場に対して課金することによって観光客数のコントロールが可能になります。また、徴収した料金はトイレなどの公共設備の整備や運営、ゴミの回収、などに活用することもできます。

京都では寺院や神社がそれぞれに拝顔料を徴収していますが、京都市自体もベネチアと同じように入場料を徴収してはどうでしょうか?

例えば、春の桜のシーズンや秋の紅葉のシーズンは1日3,000円、それ以外の土日祝日は2,000円、平日は1,000円というように価格差をつけることで旅行客の平準化が期待できます。

しかし、このような観光客への負担の増加は世論の大きな反発を招く可能性があります。

であれば、「安い日本」を享受している外国人に対して入国税のような形で負担を求める。これなら、飛行機や船での入国時に課金もでき、日本人からの反発もなく導入しやすいのかもしれません。

供給量が決まっている観光資源の需給調整の方法は価格しかありません。混雑によって事故やトラブルが多発するようになる前に、需要を調整する方法を具体的に考えるべきだと思います。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年9月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。