埼玉県議会福祉保健医療委員会が10月6日に行われたが、最大会派の自民党議員団が提出した「県虐待禁止条例」の改正案が話題となっている。
この改正案は「小学3年生以下の子どもを自宅などに残して外出することを保護者などに禁じる」ものであるという。また、本会議の質疑において、自民側は「子どもたちだけで公園で遊ばせたり、学校の登下校をさせたり、高校生の兄弟に預けて出かけたりすることも違反になると説明、4~6年生についても「努力義務」とし、県民には放置されている子どもの通報義務を課すとしたのであった。
しかし、このような条例改正案は、現実を無視した全く馬鹿げたものであろう。先ず、共働き夫婦が増えている中で、子供の登下校まで、親がしっかりと行うなど無理な話である(特に、小学校の低学年なら14時や15時の早い段階で下校することもあるだろう)。また、子供達だけで公園で遊ばせるのも「違反」とするのも「何でそんな馬鹿なことを言うの?」と思わざるを得ない。
小学校の子供が遊ぶのを、親がじっと公園で見ているのか? それは、子供の「自立心」「自立」を阻む、抑えこむものであろうし、(ある程度の年齢になれば)普通は子供も嫌がるであろう。小学生にもなれば、家で一人で留守番をするということもあるだろう。そういった経験も大切なのではないか。岸田政権は「子供ファースト」を掲げているが、この改正案もその延長線上で出されたものであろうか。
「子供ファースト」が過ぎれば、子育てがかえって窮屈になるし、子供の自立が阻まれ、過保護になってしまう。そうなると、どういった「大人」が増えていくか(当たり前の話だが、子供はいつまでも子供のままでいることはできない)。今から心配である。
「県虐待禁止条例」が可決されると、埼玉は子育てしにくい県というイメージが浸透していくのではないか。「県虐待禁止条例」のような現実にそぐわない「条例」を考案・提出するくらいなら、もっと県民の為になることをしてくださいと(筆者は埼玉県民ではないが)思ってしまう。
おかしな条例は他県にもあるが、今回の「県虐待禁止条例」のようなものが、他県にも広まっていかないか心配である。
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